2013 Fiscal Year Research-status Report
精神科医療に特有の倫理的諸問題および倫理教育のあり方に関する研究
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24520022
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Research Institution | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
Principal Investigator |
藤井 千代 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 司法精神医学研究部, 室長 (00513178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 雅文 東邦大学, 医学部, 教授 (80245589)
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Keywords | 精神科医療 / 臨床倫理 / 倫理教育 |
Research Abstract |
地域で活動する精神保健医療専門職に対して精神科倫理教育を実施し、開始前および終了後のアンケート調査と模擬事例についてのディスカッションのプロセスより、精神科における臨床倫理教育のあり方と精神科医療の現場で遭遇する倫理的ジレンマに関する具体的な対応方法について検討した。我が国の精神科医療において過去に問題となった倫理的な問題を含む事件等については、通常の精神科関連の教育等で十分な知識を得ており、また自らの臨床経験と結び付けて考えることが困難であることから、精神科倫理に興味関心を持たせる題材としては必ずしも適さないことが示唆された。精神科臨床とは直接関係しない、終末期の延命治療のあり方や臓器移植問題など、社会的に注目を集めている倫理課題から議論を始めることは、医療現場での倫理的問題を認識させ、医療倫理の原則などについての理解を促進させる効果が認められた。倫理的ジレンマへの対応については、ジョンセンらによる四分割表を用いて検討した。胃瘻造設の是非に関する倫理的ジレンマを含む模擬事例により四分割表の利用方法を理解した後に、精神科臨床で遭遇しうる模擬事例として、「うつ病患者の非自発的入院」「抗精神病薬の非告知投与」「地域医療における守秘義務」に関する検討を行った。精神科臨床倫理教育においては、今日的に関心を集めている一般的な身体科医療に関連する題材から興味関心を引き出すこと、具体的な事例検討を通じて臨床倫理の基礎を学べるような工夫、日常の精神科臨床に直結する模擬事例の提示を行うことが必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ほぼ予定通り実施できているが、教育対象者の多くが精神科医以外の精神保健医療専門職であり、精神科医の参加者を十分確保できなかったため、職種間の相違については検討が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に実施した教育を改訂し、同様の検討を行うが、その際に精神科医の参加者を確保できるような実施計画を立てる。模擬事例の検討方法について、ジョンセンらによる四分割表以外の検討方法についても試みる。
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