2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520038
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
麦谷 邦夫 京都大学, 人文科学研究所, 名誉教授 (90114678)
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Keywords | 道教 / 論書 / 道体論 / 玄珠録 / 三論元旨 / 仏教 |
Research Abstract |
本研究は、唐代の代表的な道教論書である、『玄珠録』『道体論』『三論元旨』等を解読し、その思想体系の中に取り込まれた仏教教理がどのようなものであったのか、また、六朝以来の道教固有の思想概念とどのように絡みあって、新たな思想的展開を見せていったのかを、思想史的観点から明かにすることを目的とする。 上記の目的に沿って、本年度においては、主として『道体論』を分析の対象としてその思想内容の解明を行うとともに、詳細な訳注の作成に着手した。この作業を通じて『道体論』の主題とする「道体」が、六朝後半から隋初唐にかけての道教教理の中で語られてきた「道」の体用および「道」「気」「神」の三位一体論との関係においていかなる思想史的位置づけを有するものであるのかの分析を進めた。その結果として、『道体論』における「道体」の概念は、確かに従来の道教教理と同様に、三論や中観といった仏教教理における真理のありかたに関する議論との関連性を有するものであるともいえるが、一方、そのような概念を超克しようとする意図のもと、『老子』における「道」の概念を独自の観点からより深く詳細に追求しようとするものであることが明らかになった。このことは、『道体論』が中唐以降における道教教理の独自性の追求という思想史的営みの延長線上に位置することを強く示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画に従い、『道体論』の訳注作成ならびに思想内容の解明が順調に進んだため。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した研究計画を変更する必要は基本的にはないので、それに従って研究を進める。次年度は最終年度にあたるので、研究の完了を目指して一層の進展を図る。本年度は、若干の研究経費の余剰が生じたが、予定していた資料整理の必要がなくなったためである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度、資料整理などのために予定していたアルバイトの雇用が不必要になったため。 次年度の旅費が不足する見込みなので、旅費に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)