2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520046
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
松下 道信 皇學館大学, 文学部, 准教授 (90454454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 忠彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40126107)
加藤 千恵 立教大学, 現代心理学部, 准教授 (40530209)
山田 俊 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30240021)
長谷部 英一 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (00251380)
森 由利亜 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30247259)
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Keywords | 中国哲学 / 道教 / 道教史 / 国際研究者交流 / 中国:アメリカ |
Research Abstract |
本研究は、道教の成立とその後の歴史的な展開について、これまでの研究を実証的・批判的に検証し、新たな道教史の再構築の可能性を探ることを目的としている。その具体的な研究成果の一つとして任継愈主編『中国道教史』(増訂本、中国社会科学出版社、2001)の訳注作業を中心にすえている。 平成25年度は、初年度に行った訳注作業遂行のための環境整備を受け、本格的な訳注作業を開始し、これと並行して各時代や領域の研究成果の検証と問題点の整理・検討を行った。具体的には、8月、早稲田大学で行われた第三回研究会において、山田と松下がそれぞれ隋唐時代と宋元時代の道教について、担当する章に基づき、その特徴や問題点を討議した。また3月に皇學館大学で行われた第四回研究会でも同様に、高橋と森がそれぞれ担当する漢代と明清時代の道教について、担当する章に基づいてその特徴や問題点を討議した。 また11月には、早稲田大学で米国ラトガース大学の劉迅教授を招き、若手の道教研究者を中心に組織されるタオの会という学術組織と共催の形でシンポジウムを開催し、明末の内丹道について突っ込んだ議論が交わされた。一方、当初予定していた中国社会科学院訪問による『中国道教史』執筆陣との交流・協議の場を設けることが平成25年度中に実施できなかったことをふまえ、その実現に向けて中国側と折衝を行った。 なお、研究代表・分担者はそれぞれが所属する道教学会や関連する研究会やシンポジウムなどの活動の場において各自研究報告を行っており、その内のいくつかは論文として結実している。このようにそれぞれの研究分野においても訳注作業を通じて得られた知見が研究結果へと還元されており、本研究計画を進めていく上で一定の知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、道教史の再構築の可能性を提示することを目標とし、その基礎作業として任継愈主編『中国道教史』の精確な訳注作成を柱の一つにすえている。 平成25年度は『中国道教史』全20章および序・結語のうち、すでに13章分および序・結語の訳出がほぼ終了している状態であり、残りの各章についても資料収集や他の研究書の調査などを通じて、鋭意、訳注作業を進めているところである。また当初の研究計画では平成24年度から開始する予定であった時代分野・領域ごとの研究成果の検証や問題点の整理・検討についても、漢・隋唐・宋元・明清の各時代についておおよそ完了している。ただし、まだ『中国道教史』7章分の訳注稿の作成が残っているほか、また全体を通じての検討にまではいたっていない。 また11月に米国ラトガース大学の劉迅教授を招聘したことにより、特に明末の内丹道を中心にアメリカの最新の研究状況や、またその背景に貫通する道教史全体をどう捉えるかという問題意識の把握という点である程度の進展があった。もっとも当初の研究計画では平成24年度に行う予定であった中国社会科学院訪問については実現できなかったことから、中国の研究者たちの道教研究に対する問題意識や最新の情報の共有、また中国の最新の研究状況の把握という点で当初の計画と較べ、依然として課題が残った。 したがって本研究の「現在までの達成度」は、「(3)やや遅れている」と判断される。なお平成26年度に開催予定のシンポジウムに『中国道教史』執筆者陣数名を招聘することで調整を進めており、最終的には当初の計画通り、中国人研究者との交流や協議の場を設けることができる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、本研究は任継愈主編『中国道教史』の訳注稿作成を中心として新たな道教史の再構築の可能性を提示することを目標とする。 具体的な方策としては、平成26年度は前年度に引き続き、訳注作業を継続して進めていくのにあわせて、研究例会を開き、魏晋南北朝時代の道教や道教史の中に見える科学思想の領域、および明清時代の民間宗教に関する研究成果の検証と問題点の整理・検討を計画している。これに加えて、各自、平行して関係資料・書籍の調査などを行い、研究例会での討議の成果を踏まえて訳注稿の完成および更なる精度の向上を目指す。また訳注稿全体を研究協力者の協力も得ながら松下が整備・監修する。 最後に本研究全体を総括するため、これまでの研究例会および訳注作業を通じて蓄積された知見を踏まえ、本年度後半、皇學館大学でシンポジウムを開催する。この際、『中国道教史』執筆者陣数名を招聘し、中国の研究者たちの道教研究の現況や最新情報の収集などを行う予定である。これは、当初計画していた中国社会科学院訪問による『中国道教史』執筆陣との学術交流に相当するものである。 同時にこのシンポジウムでは各時代分野の断片的な分析にとどまらず、実証的かつ系統的に道教総体を検証し、新たな道教史の再構築の可能性に肉薄することを目指したい。そして最終的にはこのシンポジウムの議論の成果を訳注の作成に反映させ、研究期間終了後の『中国道教史』訳注の出版も視野に入れ、『中国道教史』訳注稿を完成させ、報告書の形で研究成果としてまとめることを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「次年度使用額(B-A)」で差額が生じた主要な原因としては、研究代表者である松下により研究期間に先行して任継愈主編『中国道教史』(増訂本、中国社会科学出版社、2001)の版権を獲得することができたため、平成24年度に計画していた中国社会科学院の訪問を控えたこと、また、一部、訳注作業の進行状況から、資料収集を控えたことによる。 当初、計画されていた中国社会科学院訪問は、版権の問題を解決する以外にも、中国の道教研究の情報収集や中国人研究者の問題意識の調査を通じて、日本での研究とは異なる研究上の視点の把握を目的としていた。そこで改めて中国側との折衝した結果、平成26年度に開催予定のシンポジウムに『中国道教史』執筆者陣数名を招聘し、本研究班との交流・協議の場を設けることで合意した。 こうしたことから、「次年度使用額(B-A)」で生じた差額は平成26年度の助成金とあわせて、上記の中国人研究者との交流・協議に関係する費用、また当初の計画に基づく訳注作成の資料収集および研究会開催の関係費用に当てる予定である。具体的には、松下の予算内に、本来、平成24年度分の社会科学院訪問費用であったものの一部をシンポジウム開催費用として予算を計上しているほか、訳注作成および研究会開催の関係費用は当初の計画通りの額を計上している。
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Research Products
(18 results)