2014 Fiscal Year Research-status Report
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24520046
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Research Institution | Kogakkan University |
Principal Investigator |
松下 道信 皇學館大学, 文学部, 准教授 (90454454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 忠彦 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (40126107)
加藤 千恵 立教大学, 現代心理学部, 教授 (40530209)
山田 俊 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30240021)
長谷部 英一 横浜国立大学, 環境情報研究科(研究院), 准教授 (00251380)
森 由利亜 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (30247259)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 中国哲学 / 道教 / 道教史 / 国際研究者交流 / 中国:アメリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、道教の成立とその後の歴史的な展開について、これまでの研究を実証的・批判的に検証し、新たな道教史の再構築の可能性を探ることを目的としている。またその具体的な研究成果の一つとして任継愈主編『中国道教史』(増訂本、中国社会科学出版社、2001)の訳注作業を中心に据えている。 平成26年度は、前年度に引き続いて『中国道教史』の訳注作業を進め、並行して各時代や領域の研究成果の検証と問題点の整理・検討を行った。具体的には、9月、立教大学で行われた第五回研究会において、加藤が魏晋南北朝時代の道教について、また長谷部が科学思想と道教の関係について、それぞれ担当する章に基づき、その特徴や問題点を討議した。これによりほぼ当初の計画通り、漢代から明清時代にわたる各時代・領域の検討をすべて終えることができた。 また3月には、『中国道教史』の執筆者の一人である中国社会科学院の馬西沙教授、および博士研究員の王皓月氏を招き、皇學館大学においてシンポジウム「道教史の新たな展望」を開催した。シンポジウムは、全真教を中心とした学説史の再検討(松下)、経典注釈に関する実証的研究(山田)、道教と民間宗教の関係(馬)、『中国道教史』翻訳の経緯(蜂屋)という構成で、内容的にも非常に充実したものとなった。またこれは当初予定していた『中国道教史』執筆陣との学術交流の役割も果たしており、中国の研究者たちの道教研究の現況や最新情報の収集などを行うことができた。 なお研究代表・分担者はそれぞれが所属する道教学会や関連する研究会・シンポジウムなどの活動の場において各自研究報告を行っており、その内のいくつかは論文として結実した。このようにそれぞれの研究分野においても訳注作業を通じて得られた知見が研究結果へと還元されており、本研究計画を進めていく上で一定の知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、道教史の再構築の可能性を提示することを目標とし、その基礎作業として任継愈主編『中国道教史』の精確な訳注作成を柱の一つに据えている。 平成26年度は『中国道教史』全20章および序・結語の中、すでに16章分および序・結語の訳出がほぼ終了し、その他残りの各章についても資料収集や他の研究書の調査などを通じて、鋭意、訳注作業を進めた。また時代分野・領域ごとの研究成果の検証や問題点の整理・検討についても、漢・六朝・魏晋南北朝・宋元・明清・科学史の各時代・領域について完了した。 また各時代分野の断片的な分析にとどまらず、実証的かつ系統的に道教総体を検証し、新たな道教史の再構築の可能性に肉薄することを目的として、3月には皇學館大学においてシンポジウム「道教史の新たな展望」を開催した。これにより、当初の計画通り、日中双方における最新の研究情報の共有の場を設けることができ、中国の研究者たちの道教研究に対する問題意識や最新の情報の共有、また中国の最新の研究状況を把握することができた点で進展があったと考えられる。 ただし、本研究の重要な課題である『中国道教史』の訳注作業については、依然4章分の訳注稿の作成が残っているほか、また全体を通じての検討や修訂は部分的にしか進んでいない。したがって本研究の「現在までの達成度」は、「(3)やや遅れている」と判断される。なお、こうした現在の状況をふまえて、一年間の研究期間の延長を申請しており、最終的には当初の計画通り、訳注稿を完成させることができる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、本研究は任継愈主編『中国道教史』の訳注稿作成を中心として新たな道教史の再構築の可能性を提示することを目標としている。 しかし、本研究の重要な課題の一つである『中国道教史』の訳注作業については、依然4章分の訳注稿の作成が残っているほか、また全体を通じての検討や修訂は部分的にしか進んでいない。こうしたことから、研究期間を一年延長し、平成27年度は、残った部分の訳注の完成作業に全力を傾注して進めていくことを計画している。 これに加えて、これまでの研究例会での討議や、平成25年11月に早稲田大学で米国ラトガーズ大学の劉迅教授を招いて開催した国際シンポジウム、および平成27年3月に皇學館大学で開催したシンポジウム「道教史の新たな展望」の成果等を踏まえて訳注稿の完成および更なる精度の向上を目指す。これにあたっては全体を研究協力者の協力も得ながら松下が整備・監修する。 最終的には、研究期間終了後の『中国道教史』訳注の出版も視野に入れ、『中国道教史』訳注稿を完成させ、報告書の形で研究成果としてまとめることを目標とする。
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Causes of Carryover |
「次年度使用額(B-A)」で差額が生じた主要な原因は、『中国道教史』訳注が完成していない部分があり、また訳注稿の精度を上げる必要があることから、平成26年度中に計画していた『中国道教史』訳注稿の製本を控えたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、『中国道教史』全20章中16章の訳注作業がほぼ完了しているが、まだ訳注が完成していない部分があり、また研究例会で内容の検討を進めた結果、更に訳注稿の精度を上げる必要があることがわかった。このため、次年度は継続して任継愈編『中国道教史』の訳注作業を行い、訳注稿の完成を目指し、あわせて訳注稿全体の精度向上に全力を傾注することとした。 こうしたことから、「次年度使用額(B-A)」で生じた差額は、すべて訳注稿の製本に充てる予定である。なお訳注稿の製本費用は平成27年度分の松下の予算内に計上している。
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Research Products
(21 results)
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[Presentation] 荘子の養生論2014
Author(s)
蜂屋邦夫
Organizer
2014東亜人文論壇―東方文化与養生―
Place of Presentation
北京市・北京大学(中国)
Year and Date
2014-08-23
Invited
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