2014 Fiscal Year Research-status Report
南アジアにおける密教の展開――『ヴァジュラダーカ・タントラ』原典研究――
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24520055
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Research Institution | Nihonbashi Gakkan University |
Principal Investigator |
杉木 恒彦 日本橋学館大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40422349)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヴァジュラダーカ / タントラ / インド仏教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、インド密教経典『ヴァジュラダーカ・タントラ』の主要な33の章のサンスリット語校訂テキストと英語による各種分析を提供することである。コルカタ(インド)のAsiatic Societyに必要な資料の調査・取得に出張しつつ(旅費使用)、2014年度にそのほぼ全体を仕上げることができた。もちろん、その内容の精度を上げていく作業を今後も積み重ねていく。これまでに出来上がった成果を発表するために、2014年8月に国際学会International Association of Buddhist Studiesなどで口頭発表を行い(成果の一部を取り入れた発表:旅費使用)、成果の一部を取り込んだ論文1本を刊行した。また、2014年度後半は同経典のサンスクリット語校訂テキストを主内容とする英語論文の執筆に従事した(ネイティヴ研究者による校閲:謝金使用)。また、応募の段階では予定していなかったが、『ヴァジュラダーカ・タントラ』の33の章のチベット語訳校訂テキストも作成し提供することにした。これにより、単に『ヴァジュラダーカ・タントラ』の理解の助けとなるだけでなく、用語や定型句のサンスクリット語・チベット語対照を可能にするため、関連分野の研究者の方々にとってより一般的な利益を生み出すと考えたからである。さらに、2013年度から研究内容に追加した、『ヴァジュラダーカ・タントラ』と深い関連をもつカンバラ作『ヘールカアビダーナ・パンジカー』のサンスクリット語・チベット語校訂テキスト作成も進み、その成果としての英語論文の執筆も、2014年度後半に仕上げることができた(ネイティヴ研究者による校閲:謝金使用)。2014年度、英語論文を4本執筆し、そのうち校閲の済んだ2本を、すでに投稿済(現在査読中)である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調である。「研究実績の概要」の箇所で述べたように2014年度からチベット語校訂テキストの作成も研究課題内容に含めることにしたため、行うべきことが増えている。時間的に可能であるから増やしたのであるが、ここで「おおむね」と自己評価したのは、行うべき内容が増えたことによるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度、『ヴァジュラダーカ・タントラ』の33の章のサンスクリット語・チベット語校訂テキストと英語による各種分析を完成させ、(ならびに関連研究としてカンバラ作『ヘールカアビダーナパンジカー』のサンスクリット語・チベット語校訂テキストも可能な限り進め)、国際的なジャーナル等での成果発表を行う予定である。
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Causes of Carryover |
繰越金が生じた理由を述べる。1つ目は、所属大学の新しい方針により日当の支出を行わなかったため、2回の海外出張(旅費)の出費を抑えることができたことによる。2つ目は、ネイティヴ研究者による英語論文校閲(謝金)の一部が2015年度(2015年4月以降)にずれ込んだことによる。3つ目は、「研究実績の概要」等に記したように研究課題を関連資料にまで拡大したこと(『ヘールカアビダーナパンジカー』の校訂を進めることと、『ヴァジュラダーカ・タントラ』のチベット語訳校訂テキスト作成の付加)により、2015年度以降にその遂行にともない必要となり得る費用を保持するために、書籍代金等、セーブできる箇所をセーブしたことによる。なお、この研究課題拡大により、本研究を1年延長する計画を現在立てている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度は原則申請の通りに支出を行う予定である。そうなると、余剰金が出ることになる。だが、上述のように研究課題拡大により本研究を1年延長する計画を立てており、繰越金を最終的にこの延長分の研究に使用する予定である。その内容は、主として、いくつかの追加資料の入手(書籍:物品)と国際学会での発表にともなう支出(旅費)とネイティヴ研究者による英文論文校閲(謝金)の予定である。
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Research Products
(3 results)