2015 Fiscal Year Annual Research Report
近現代日本の民間精神療法に関する宗教史的考究 身体と社会の観点から
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24520075
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
吉永 進一 舞鶴工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90271600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 直子 早稲田大学, 付置研究所, その他 (10608433)
塚田 穂高 國學院大學, その他部局等, 助教 (40585395)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 民間精神療法 / 霊術 / 呼吸法 / 修養 / 国家主義 / レイキ |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、4月に吉永がカリフォルニア大学サンタバーバラ校で講演し、8月にドイツ、エアフルトで開催された国際宗教学宗教史学会にて日、米、加の研究協力者によるパネル発表を行い、12月には京大人文研でヨーガとレイキをめぐる国際ワークショップ開催に協力するなど、海外での発表を積極的に行うことができた。また国内では、9月に京大人文研でのワークショップ「身体と政治:近代日本の霊的な心身技法と国家論」開催に協力し、明治における儒教の近代化から三井甲之の国家主義的な療法論に至る身体技法の思想史を明らかにした。3月には、研究期間内に行った研究会、学会パネルなどのレジュメ資料、報告論文、大正期精神療法雑誌の電子データを収めた報告書DVDを作成した。 この4年間で特記すべき研究成果としては、太霊道を中心とする大正期精神療法運動の解明、霊気療法の発生から世界的な流行に至る過程の解明、霊気を含む精妙なエネルギー概念についての科学史的な研究があり、現在世界的に普及するレイキヒーリングについて初めて学術的な歴史研究を行った。研究開始当初予想していなかった成果としては、静坐社の閉鎖に伴う静坐関係資料の整理調査と国際日本文化研究センターへの移行、人文書院に残された日本心霊学会資料の発見と予備調査があり、後者は別の科研プロジェクトにつながっている。さらに、海外の近代ヨーガ研究者や秘教史研究者との協力関係構築によって、日本の精神療法運動を世界的な視野から研究する足がかりを得たことも予想外の成果である。今後、一方では海外研究者との連携によって近代ヨーガや西洋秘教思想と日本の民間精神療法との比較研究を進展させ、他方では明治大正期の修養、生長の家などの新宗教運動、そして今日のセラピー文化やスピリチュアル文化に至る通史を構築することで、心身技法を軸にした新たな近代宗教史、文化史、社会史研究への道が開かれると予想される。
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Research Products
(16 results)