2012 Fiscal Year Research-status Report
廃校を活用した芸術文化施設による地域文化振興の基本調査、およびデータベース構築
Project/Area Number |
24520132
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
佐々木 けいし 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (10225865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽子田 龍也 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60431384)
伊藤 隆介 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (80271716)
閔 鎭京 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80431386)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 廃校 / 芸術文化施設 / データベース |
Research Abstract |
24年度は本研究の目的である「独創的な運営事例が増えつつある廃校の芸術文化的活用法に焦点をあて、その実態を調査」に主眼を置いた。調査対象地域、調査日程や期間を再検討し、長期的収集計画の方針を立案し、調査の分担や、今後3年間の基本的研究体制の確立と、調査の試行的実施を主たる内容に据えた。 具体的には、1:モデル地域の実態調査 2:インターネットによる全国の基礎調査 3:ホームページ(以下HPと表記)の立ち上げを実施した。 「モデル地域の実態調査」は、日本一の廃校産地であり、また芸術文化の利用も多い北海道で26の施設をリストし、内17の施設を訪問、情報収集を行った(計画では約10施設の予定)。「インターネットによる全国の基礎調査」では、39の施設をリストし、内6の施設を訪問、情報収集を行った(計画では約5施設の予定)。その他、海外の事例とも比較検討する必要性を感じ、アメリカの1施設を訪問し、情報収集を行った(計画段階では海外調査はなし)。 予定より多い訪問、情報収集を行えたことで、北海道と他地域の活用傾向の違いが明確になった事は非常に大きな成果であった。これらの結果を基に、データベースの基本フォームなど、調査法の確立を行い「HPの立ち上げ」を行った(URL http://haikou.jp/)。なお、HPへの掲載は当該施設側から掲載承諾を得たうえで掲載することを原則としており、承諾をいただいた施設から随時更新することとしている。HPには上記したリストから漏れている情報を提供していただく「情報収集ページ」や、本HPに対する意見を収集するために「Face book」を活用したページなども同時に作成した。HPを早期に立ち上げることが出来たことで、短期間に状況が変化していくと予想される本研究のデータベースを、常に最新の情報が掲載されているものとしていくことの重要性は大きいと感じている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究での第一の目的は「現在ほとんど統計がないものの、独創的な運営事例が増えつつある廃校の芸術文化的活用法(ギャラリー、アトリエなどを中心とした地域センターとしての使用)に焦点をあて、その実態を調査すること」であり、3年間で計画した1年目として、計画数を超える実地調査を行うことができた。 第二の目的である「既存の美術館やギャラリーなどの公的文化施設に代わる第三の新たな文化施設としての側面の検証」に関しては、最終年度にまとめる方向であるが、実態調査のデータを元に、検証のための基礎的な資料収集が順調に行えていると判断している。 第三の目的である「事例研究を通し、廃校アートセンター会議等を促進、ネットワーク化の試行を行うことにより最新の情報収集を深め、地域発の新しい公共の担い手としての廃校アートセンターの可能性、近未来の日本型のアートスペースの在り方や運営法について提案する」に関しては、廃校アートセンター会議に本プロジェクト主催ではないが「参加」した事により、次年度本プロジェクト主催で実施する礎を築くことができたと評価している。また、今後の可能性、在り方、運営方の提案という点は最終年度に行う予定であるが、基礎的な資料収集が順調に行えていると判断している。 総合的に見て本研究の目的の達成度は「当初の計画以上に進展している」と判断しているものである。
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Strategy for Future Research Activity |
25.26年度は北海道内ではまだ調査を行っていない9施設の訪問(当初計画では7程度としている。さらに調査を続けることで増える可能性がある)を軸とし、道外の33施設の内、調査の必要があると判断する事例に関して効率的な調査旅程・収集計画の検討を行い、現地調査を実施する。 ホームページ(以下HPと表記)の「情報収集ページ」や「Face book」で得られた情報を元に、リストを精査し、必要に応じて調査を実行する。同時にHPの内容を見直し、データの充実や観点別に整理、検証を試みる。HPには課題も多く、直近の課題としては情報掲載にあたり各施設の掲載承諾が必要と考えているが、現在の所有者の協力が十分に得られないケースや、一律の情報内容が掲載できないケースなども増えてきているため、対応のあり方を見直すことが必要と考えている。 計画していたフォーラムは、24年度に白老町の旧飛生小学校施設を活用している「飛生アートコミュニティー」で実施されたため、主催ではなく参加したが、25年度は本研究チームが主催して他地域の廃校アートセンター運営担当者を約2名招聘し、情報交換するとともにその運営法の問題や解決法を検討する計画である。さらに、最終年度にはまとめとして著書を発行する方向で検討を進めているため、その基礎資料とすることが出来る複数の論文を執筆する計画である。その他、26年度に向けての事業計画を綿密に行い、より広範な研究成果の社会的還元の方法を模索するものとする。 なお、24年度は研究協力者としていた柴田尚氏が25年度北海道教育大学の特任教授として招かれたことから、研究分担者として登録を行いたいと考えており、現在部局と調整中である。 24年度の予算執行算が5万円弱あるが、予定では25年度の調査旅費として使用する計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に関しては当初計画予算に加え、24年度未使用分を加え、843215円を予算として、次のような計画で使用計画を立てている。25年度当初計画予算800000円・昨年未使用分の繰越金43215円・合計843215円 25年度の計画使用額・旅費483215円・謝金招聘等180000円・成果発表関連180000円 合計843215円 26年度に関しては、現状では当初計画予算通り、次のような計画で使用計画を立てている。 26年度の計画使用額・旅費300000円・謝金招聘等180000円・成果発表関連720000円 合計1200000円
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