2015 Fiscal Year Research-status Report
絵画制作の下地にかかわる専門用語の、西洋における混乱した使用状況に関する研究
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24520137
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内藤 定壽 筑波大学, 芸術系, 教授 (80261791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仏山 輝美 筑波大学, 芸術系, 教授 (70315274)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 絵画技法専門用語 / イタリア / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の絵画技法に関する専門用語には、あるひとつの内容に関して複数の用語が存在すると同時に、それらの用語それぞれについてもさまざまな解釈が存在している。このような混乱した状況を踏まえ、1.歴史的な絵画技法の意味を正しく理解するために、専門用語 の本来の意味を明らかにすること、2.国内外での混乱した実態を真摯に見つめ、混乱した状況と変化した用語の意味を正確に把握すること、このふたつが研究の全体構想である。 研究構想全体の中で、本研究は西洋における絵画の下地にかかわる専門用語を研究対象とする。 平成27年度においては、イタリア共和国における文献調査及び聞き取りによる実地調査が最大の成果である。イタリア共和国においては、フィレンツェ美術アカデミーのAdriano Bimbi教授と研究交流行うことができた。フィレンツェ美術アカデミーはレオナルド・ダ・ビンチの弟子のひとりヴァザーリが設立したヨーロッパ最古の美術学校(大学)であり、当校において研究交流ができたことは、イタリア語圏はもちろん、ヨーロッパにおける専門用語の使用状況を知る上で極めて大きな成果である。また、ローマ国立図書館にて技法書について調査し、書店にて技法書を入手し、美術館等で大量の資料となる写真を撮影し、さらに複数の老舗画材店を訪問し、専門用語が示す日本では入手が難しい材料についても入手することができたことは、専門用語が示す意味、内容を明らかにする上で極めて大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度はイタリア語圏の美術大学への取材、調査について、フィレンツェ美術アカデミーにおいて、Adriano Bimbi教授に対し、聞き取り調査を行うことができた。また、イタリア語圏の絵画技法書と、絵画技法書に記載されている画材について入手する計画についても、アカデミーの教授に紹介された大規模な画材店においてそれらを入手し、研究の基礎資料を充実することができたため、資料収集についてはおおむね順調であった。ただ、当初の計画では4年目の本年度に研究成果を公開する予定であったが、イタリア語、スペイン語、ドイツ語による大量の資料の分析に時間を費やし、1年の期間延長を申請し認められた。期間延長したため(4)遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究については、本研究にかかわった研究分担者、研究協力者との連携のもと、研究報告書を作成し、大学教授等の専門的研究者にダイレクトに配布する。同時に、筑波大学芸術洋画のWebを通して、研究成果を公表する。 イタリア語圏、スペイン語圏、ドイツ語圏を対象とした本研究終了後は、研究の全体構想のもと、フランス語圏、英語圏、オランダ語圏等を中心とした地域における研究へと拡大させる。
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Causes of Carryover |
イタリア語、ドイツ語、スペイン語による資料の比較考察に想定以上の時間を要しており、研究成果のとりまとめができず、その経費が未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果をまとめ、報告書を作成し研究機関に配布し、筑波大学芸術系のホームページ上で広く公開するための経費として使用する。
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