2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520145
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
MORTON LEITH 東京工業大学, 外国語研究教育センター, 教授 (40361787)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TOKITA Alison 東京工業大学, 外国語研究教育センター, 教授 (60589662)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 浪曲 / 浪花節 / 口頭性 / 書記性 / オーラルナラティブ / ポピュラーカルチャー / 音楽 / 言語テクスト |
Research Abstract |
本研究は、近代日本で生まれた語り物・オーラルナラティブである浪花節(浪曲)の詳細な分析を通して、近代日本の心性、ポピュラーカルチャーをより深く理解し、社会文化史の知見を広げることを目的とする。浪花節には一般庶民の声、さらにはナショナリズムをも表現されているので、そこから得られる情報は膨大である。より具体的には、浪花節の語りを対象とし、テクストの常套表現と節の旋律型を検出してその機能を探り、音楽および言語テクスト両面での規範性と流動性を明らかにし、口頭性と書記性を検証しつつ、その人気の謎を明らかにするものである。 初年度である平成24年度は、研究の基盤・ネットワークを構築することを主たる目的とした。浪花節の曲目・演者・講演のデータベース化(NHK、日本浪曲協会などの資料を参考に)、浪花節の演者やプロデューサーへのインタビューを実施した。定期的に浅草木馬亭、日本橋亭、お江戸上野広小路亭、国立劇場演芸場、国立文楽劇場において浪曲を鑑賞し、その置かれている社会状況や観客層についてフィールドワークを行った。また3年間の研究の基盤として、浪花節は基本的に楽譜が存在しないので、採譜の作業が非常に重要になった。音楽ソフトウェアを利用し、聴覚資料(音源)を視覚資料(五線譜)に変換する作業を行った。それによって、より詳細な音楽学の立場からの研究が可能となる。こういったフィールドワークは東京のみならず、大阪においても頻繁に行われ、本研究に東京に限定されない視野を提供することになった。また、ネットワーク構築に努力した結果、日本のみならず海外からも本研究に関心をもつ研究者たちからの協力を得られることになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画はすでに実施済みであり、国内外の研究者からの協力を得られることになり、より広い視野を持った研究プロジェクトとなった。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、5月18日、19日に国際シンポジウムを行う。その後、すでに揃った資料から音楽分析・テクスト分析を本格化させる。採譜した音楽資料を持って音楽分析を行い、旋律型・曲節の検出、その機能の解明を行う。また浪花節の置かれている社会的側面、およびテクストの詳細な読解によって、文学的立場からの浪花節の意義について分析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国際シンポジウムの開催費用と、紀要の作成、研究者間会議の費用。
|
Research Products
(19 results)