2014 Fiscal Year Annual Research Report
1900年前後のベルリンにおける日本伝統音楽の受容の研究
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24520158
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
泉 健 和歌山大学, 教育学部, 教授 (80107995)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ベルリン / “Ost=Asien” / 異文化受容 / 玉井喜作 / 寄せ書き / 川上貞奴 / 烏森芸者 / オペレッタ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究成果として、ベルリンの玉井喜作宅における寄せ書きを覆刻した。泉健編著『玉井喜作宅における寄せ書き』2014年12月24日発行、印刷;和歌山印刷株式会社、A5版全123ページ60部覆刻。 これは“Ost=Asien”(1898-1910)を刊行したベルリンの玉井喜作宅を訪問した日本人やドイツ人が記述した、1900年-1906年の間の寄せ書き帳であり、当時ベルリン大学に留学していた学者やベルリンの劇場で公演した日本伝統音楽の演者等の足跡を知る上で、歴史的資料として非常に貴重なものである。平成24年度の研究成果である川上貞奴一座や平成25年度の研究成果である烏森芸者一行のベルリンでの詳細な足跡の解明もこの寄せ書きにより可能となった。他にも科学史や留学史の研究など種々の学問分野の基礎的な歴史的資料として、この寄せ書きは大きな史料的価値を有するものと思われる。 本研究の目的は、19世紀末から20世紀初頭のベルリンで発行されたドイツ語の月刊雑誌“Ost=Asien”の中の論文を読み解き、当時のベルリンにおける日本伝統音楽の受容の様相とベルリン在住の日本人の西洋音楽受容の様相を解明していこうとするものである。この雑誌が1900年前後のベルリンにおける日独関係のパブリックなタイムカプセルであるとすれば、今回覆刻した寄せ書きは同時代のプライベートなタイムカプセルと言える。 ベルリン在住の日本人の西洋音楽受容に関しては、その一部を平成23年に「田中正平における西洋音楽の受容」(『和歌山大学教育学部紀要 人文科学』第61集,pp.113-126)として発表した。当初予定したエイブラハム,O.とホルンボステル,E.M.vonの論文「日本人の音組織と音楽の研究」(1902-1903)の分析及び研究は今回の研究期間内にはできなかった。これは今後の課題としたい。
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Research Products
(2 results)