2013 Fiscal Year Research-status Report
日本のオペラ団体による公演活動の変遷―藤原歌劇団と日本オペラ協会の活動検証から
Project/Area Number |
24520189
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Research Institution | Showa University of Music |
Principal Investigator |
石田 麻子 昭和音楽大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50367398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根木 昭 昭和音楽大学, 音楽学部, 教授 (90242461)
酒井 健太郎 昭和音楽大学, 大学共同利用機関等の部局等, 講師 (60460268)
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Keywords | 日本のオペラ公演 / 日本のオペラ団体 / ワーグナー上演史 / 劇場建設 / 文化政策 / 公的助成 |
Research Abstract |
平成24年度の研究の過程において、現在活動中の日本のオペラ団体の中で、最も古い歴史を持つ藤原歌劇団が、わが国においてオペラ公演に果たした役割を明確にするために、大規模な舞台、多くの人材が必要となるワーグナー上演の歴史に関して考察する手法をとるという着想を得た。 その発想のもと、平成25年度は、初期のワーグナー上演において、藤原歌劇団が中心となって、日本におけるその上演史の中核となって活動していた経緯を明らかにした。その際に関わった公演は戦時下にあった世界状況の影響を受けていることなどが明確になった。その後、我が国において、劇場が建設され、公的助成が時代と共に変化してきていた状況なども、同時に提示可能となった。これらの成果の一部を日本音楽芸術マネジメント学会にて発表するに至った。 この点は、本研究において、作品の上演史から、オペラ団体の活動と、劇場の建設や文化政策も含めた上演環境整備の関係を明らかにするという手法を確実にする大きな一歩となった。同時に、わが国におけるワーグナー上演の歴史研究は、国外のワーグナー上演に目が向きがちであった状況に一石を投じるものとなったと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる手法であるオペラ公演史研究を通じて、藤原歌劇団の運営および公演の「現状」と「過去」の差異が明確になってきている。この成果は、わが国におけるオペラ公演の歴史がオペラ団体によって担われてきた経緯を具体的に示しているだけでなく、劇場整備の歴史とも相まって、わが国における複雑な公演環境の状況を明らかにすることにも役立っている。また、これらを解き明かすために行っているデータ整備によって明示される結果となった、わが国におけるワーグナー上演の歴史が、オペラ団体と劇場建設の関係の歴史等に直接影響を受けてきた経緯の提示は、重要な成果となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、これまでの研究成果をもとに、今年度はイタリアで開催される欧米中の劇場が集まるオペラの国際会議に招待されての発表をはじめ、新たな視点で進めている研究成果の発表を国内学会でも行うこととしている。さらに、所属学会以外の学会からの招聘により、海外の劇場運営に関するシンポジウムのコメンテーターとして招聘される予定であることなど、国内外のオペラ公演の歴史と現状研究に直接役立つ成果を上げ、そのことが外部機関や研究者からも認められ始めている。これらの機会を活用することにより、わが国のオペラ公演の歴史研究の状況とそこから読み取れる事象にかかる複雑な事由といった研究成果を発表していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ化の作業などのために、アルバイトの方の謝金を予定していたが、進行が予定よりも早く、謝金の部分が余剰となったため。 次年度は多角的なデータ化等の作業が必要となることから、謝金の支出がふえる予定となっている。
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Research Products
(9 results)