2012 Fiscal Year Research-status Report
20世紀初頭~戦間期ロンドンにおける寄席と劇場の関係
Project/Area Number |
24520198
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
赤井 朋子 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (70309433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | イギリス演劇 / ヴァラエティ / レヴュー / 劇場 |
Research Abstract |
1、1年目である今年度は、まず、昨年度までの研究成果を本研究課題につなげることから始め、時代としては両大戦間期をとりあげて、勤務先の紀要に「チャールズ・コクランの『この恵みの年!』―イギリス1920年代のレヴューに関する覚え書き―」と題して文章を掲載した。ミュージック・ホールであった建物が劇場に改築されることにより、レヴューの上演にどのような質的変化が生じたのかを具体的に検証することができた。 2、英米文化学会の分科会「イギリス近代演劇と劇場―19世紀末~20世紀初頭」のメンバーとして、10月6日(清泉女子大学)と3月9日(明治大学)に行われた2回の研究会に参加した。そして、この時代の上演について「劇場」というキーワードを中心に様々な角度から考察する貴重な機会を得ることができた。この分科会では、2013年度内にロンドン・コリシアム劇場についての発表を行う予定である。 3、早稲田大学演劇博物館において、坪内士行コレクションの調査を行った。宝塚少女歌劇団の顧問として作品の創作や演出に携わっていた坪内士行がイギリス留学中(1910年代前半)に観劇した作品を、特にレヴューとバレエを中心に、具体的に確認することができた。本研究課題に取り組む過程で宝塚歌劇研究との接点を見いだしたことは重要な成果である。 4、2013年2月にロンドンに赴き(1週間程度)、複数の図書館や博物館において、1910年代前半のヴァラエティ劇場に関する資料を収集した。ヴァラエティ劇場の演目は、寄席演芸だけではなく、バレエやオペレッタ、一幕劇や映画など、文字通り多様性(ヴァラエティ)に富むものであったが、それらの上演演目や出演者等について、プログラムや雑誌記事、写真等の具体的な情報を入手できたのは有意義なことであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1、両大戦間期に上演された特定のレヴュー作品について、「寄席から劇場への変化」という観点から分析を行い、その成果を発表することができた。 2、所属する研究会の活動がほぼ計画通りに進んでおり、自分が分担するテーマについても文献や資料の収集がおおむね順調に進んでいる。 3、日本の演劇人への影響という側面にも視野を広げ、坪内士行の観劇した作品について、調査研究をいくらか行うことができた。 4、予定通りイギリスで一次資料の調査を行い、ある程度の収穫を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年度は、すでに学会での研究発表が2件、予定されている。 さらに、そのうちの1件を元に論文にまとめる(共著の図書の一部として)予定である。 また、国内外での研究調査も予定している。特に、上演の場所が寄席から劇場へと変化していった時代のバレエやレヴューについてさらに詳細な調査を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
24年度においては、予定していた書籍(特に古書)が予定額より安価に購入できたので、次年度使用額(B-A)が103,249円となった。 次年度においては、イギリス近代演劇および日本近代演劇関連書籍、文献複写依頼等に約30万円、研究調査の旅費に約50万円を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)