2013 Fiscal Year Research-status Report
日本近世文学の文化基盤としての茶の湯文化に関する包括的研究
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24520203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石塚 修 筑波大学, 人文社会系, 教授 (10282287)
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Keywords | 日本近世文学 / 茶の湯 |
Research Abstract |
平成25年度は前半期に元禄期以降に刊行された茶書の整理と精査を主としておこなった。茶書は主として藤村庸軒(1613-1699)の茶話を娘婿の久須美疎安が記録した『茶話指月集』のように聞書系ものを中心とした。 後半では茶の湯文化に関連する文学作品について検証した。俳諧・咄本についても検討して、昨年度におこなった随筆とあわせて収集し、個々の作品についてどのように茶の湯文化が浸透しているかを検討した。 その過程で、西鶴の遺稿集のひとつであり、これまであまり高く評価されてこなかった元禄9年(1696)刊行の浮世草子『万の文反古』巻一の四「来る十九日の栄耀献立」の内容と遠藤元閑の茶懐石料理の解説書で同じく元禄9年(1696)に刊行された『茶湯献立指南』とを比較検討することで、この献立が従来の指摘のように視覚的に具体的な再現の可能な者ではなく、むしろ再現性が不可能な献立であった可能性を指摘し、そこにこそ文学的な価値があることを解明した。日本近世文学会『近世文藝』100号に投稿し受理され、掲載の予定となっている。 また、前年度につづき俳茶会「夕顔の」歌仙についても、その連句と献立、および道具組の綿密な関係性についての検証も行ない、台湾の中國文化大学外國語文學院日本語文學系主催100學年國際學術研検會での国際シンポジウムで発表し、食文化をも取り込んだ「俳茶会」という日本文学のあり方について解説し、国際的にも広く日本文化。日本文学についての理解を得られたものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
俳茶会については台湾中國文化大学での国際集会で発表し、茶の湯文化の日本文学との密接な関係について国際的な理解を得られた。 また、石塚修『西鶴の文芸と茶の湯』(思文閣出版 2014)においてもその成果を十分に取り入れることができたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、最終年度としてこれまでの収集した文学の収集成果と、それをデータベース化したものをCDやwebで公開するなどして、他の文学研究に還元できるような研究成果として示したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果公開のための郵送費の残金が発生したため 次年度の研究成果公開費用に充当して使用する予定である。
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