2013 Fiscal Year Research-status Report
敵討ち物実録の流布および他ジャンル文芸への影響と、実録の「事実」性に関する研究
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24520219
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
菊池 庸介 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (30515838)
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Keywords | 近世文学 / 実録 / 敵討ち |
Research Abstract |
平成25年度は、昨年度作成した未発掘敵討ち物実録のリストに基づき、敵討ち物実録の収集と内容分析を中心とする活動を行った。収集面においては、弘前市立図書館岩見文庫の所蔵する実録に、これまであまり注目されていなかった敵討ち物実録が多数所蔵されることにより、国文学研究資料館が所蔵するマイクロフィルムからの複写を行い、収集した。その中の実録には、読本との影響関係を伺わせるものもあることを確認できた。他に、当初の調査予定には無かったが、姫路市文学館の金井寅之助文庫や個人の研究者が、やはり未発掘の敵討ち物実録を所蔵することがわかったため、調査・写真撮影を行っている。 また、前年度から行っていた、島根大学図書館堀文庫蔵浮世草子『敵討会稽錦』の翻刻を行い、今年度は巻1部分を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標は、前年度作成のリストに基づいた資料収集が中心であり、いくつか調査できなかった所はあるものの、おおむね順調に行うことができた。当初、計画外であった調査箇所があらたに見つかったことは、未発掘の敵討ち物実録のデータが増えることとなり、収穫であったといえる。 また、収集した敵討ち物実録の解題作成に着手したが、資料収集の方に時間が取られ気味であり、やや遅滞していることは否めない。しかし、その途上で、他の敵討ち物実録と相似するものや他ジャンル文芸との影響関係をうかがわせるものなどがあらわれ、研究が拡がる手応えを得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、すでに収集している複写資料の分析が中心となる。実録の梗概を中心とする解題作成を行い、とくに書名や実録中の登場人物を手がかりに、影響関係が予想される他ジャンル文芸資料と突き合わせ、関係の有無を確認していく。ただし、実録の梗概をまとめることは時間を要することであるため、たとえば、趣向的な部分などについては簡単にまとめるなどの工夫をしていく。 また、前年度に未調査の調査先については、可能な限り調査と資料収集を継続していく方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査先との日程の都合が合わせられず、当初予定していた調査先に出向くことができなくなり、調査回数が減ったことや、購入を希望していた物品が在庫切れであったことから、次年度繰越の研究費が生じている。 繰り越し分の予算については、今年度は、当初の予定に従い昨年度に実施できなかった調査旅費に充てるとともに、研究の進捗過程においてあらたに必要となった資料の購入を予定している。
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Research Products
(1 results)