2012 Fiscal Year Research-status Report
日本古代の漢文文献を通してみる東アジアの文学世界及び学術交流に関する研究
Project/Area Number |
24520239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河野 貴美子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20386569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高松 寿夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40287933)
陣野 英則 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40339627)
新川 登亀男 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50094066)
吉原 浩人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80230796)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(中国) / 国際研究者交流(アメリカ) |
Research Abstract |
本研究は、日本古代の漢文文献を通して、日本そして東アジアにいかなる文学世界が構築されていたか、またいかなる学術交流が展開していたかを考察し、それを文学・文化史上に正しく位置付け直すことを目指すものである。具体的な研究計画としては、次の3項目を柱として掲げた。平成24年度の研究実績はそれぞれ以下の通りである。 (1)渤海使関係詩の精読注解 早稲田大学日本古典籍研究所の主催により「渤海詩研究会」を六回開催し(2012年5月20日、7月29日、9月23日、12月2日、2013年1月27日、3月17日)、『扶桑集』所収の渤海使関係詩を精読した(成果は『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第6号に掲載)。また祐徳博物館、松浦史料博物館、徳川ミュージアム彰考館レファレンスルームにて『扶桑集』の写本調査を行い、写真複写資料等を収集した。 (2)「文」の概念に関する研究 早稲田大学日本古典籍研究所の主催によりワークショップ「日本における「文」の世界・伝統と将来」を計18名の研究発表者とコメンテーター(日本及びアメリカ)、そして一般からも多数の参加者を得て開催した(2013年7月21日、22日)。またその成果を『日本における「文」と「ブンガク(bungaku)」』(アジア遊学162、勉誠出版、2013年3月)として刊行した。また研究代表者はアメリカに出張し、現地研究者と今後の学術交流について打ち合せを行った。 (3)日本伝存漢籍に関する研究 早稲田大学日本古典籍研究所と浙江工商大学東亜文化研究院の共催により2011年7月に行った国際シンポジウムの成果として、『東アジアの漢籍遺産――奈良を中心として』(河野貴美子・王勇編、勉誠出版、2012年6月)を刊行した。また両研究機関の共催で2013年2月2日にシンポジウム「文化の衝突と融合―東アジアの視点から―」を開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に掲げた研究活動は、いずれも計画通りに当該年度内に実行でき、また、それぞれの研究活動において十分な成果を達成できている。そして、(1)渤海使関係詩の精読注解、(2)「文」の概念に関する研究、(3)日本伝存漢籍に関する研究、それぞれの項目において、次年度以降にむけてのさらなる発展的な課題も見出された。また、研究代表者、研究分担者及び海外共同研究者が協力して、引き続き研究活動を進展させるべく潤滑な体制も構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、以下の3項目を研究活動の柱として研究を推進していく予定である。 (1)渤海使関係詩の精読注解 早稲田大学日本古典籍研究所主催による「渤海詩研究会」を年六回開催する。対象とするのは『扶桑集』所収の大江朝綱詩、藤原雅量詩及び『江談抄』所収の都在中詩である。また、引き続き『扶桑集』諸本調査を進める。また、研究会における精読注解の成果を『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第7号に掲載する。 (2)「文」の概念に関する研究 海外共同研究者であるボストン大学Wiebke Denecke准教授との連携のもと、「文」の概念に関する新たな体系を構築、発信する専門書(『日本における「文」の世界』(仮)、勉誠出版)を刊行するため、企画立案を行う。主としてインターネット回線を利用して、書籍刊行のための編集会議を行い、2014年6月には執筆者が原稿を持ち寄りディスカッションを行うワークショップを開催するべく準備を進める。 (3)日本伝存漢籍に関する研究 日本伝存漢籍に関わるシンポジウムを開催する。具体的には、中国・浙江工商大学東亜研究院との共催により、2013年9月に杭州において、「西湖の文学イメージ――東アジアの名勝の誕生、流伝、移動」あるいは「東アジアの筆談資料」(いずれも仮)をテーマとするシンポジウムを行う予定である。また、2013年2月に開催したシンポジウムの成果を原稿化し、雑誌『アジア遊学』(勉誠出版)で特集を組み刊行すべく(2014年9月刊行予定)準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)渤海詩関係詩の精読注解のため、『扶桑集』の伝本調査を引き続き行う。京都大学附属図書館及び静嘉堂文庫等にて調査、資料収集を行うため、国内出張費、資料複写費等を使用する予定である。 (2)「文」の概念に関する研究においては、「文」の概念に関する新たな体系を構築、発信する専門書の企画立案、編集を進めていくための、通信費等が必要である、また関連の先行研究等を収集する必要があるため、図書資料費等を使用する予定である。 (3)日本伝存漢籍に関する研究においては、中国でのシンポジウムを開催する予定であり、主として海外出張費を使用する予定である。
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Research Products
(53 results)