2014 Fiscal Year Research-status Report
日本古代の漢文文献を通してみる東アジアの文学世界及び学術交流に関する研究
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24520239
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
河野 貴美子 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (20386569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高松 寿夫 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40287933)
陣野 英則 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40339627)
新川 登亀男 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (50094066)
吉原 浩人 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (80230796)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際研究者交流(中国) / 国際研究者交流(アメリカ) / 日本古典籍 / 日本漢文学 / 文の概念史 / 東アジア学術文化交流史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本古代の漢文文献を通して、日本そして東アジアにいかなる文学世界が構築されていたか、またいかなる学術交流が展開していたかを考察し、それを文学・文化史上に正しく位置付け直すことを目指すものである。具体的には、以下の3項目を柱として研究活動を進めてきた。 (1)渤海使関係詩の精読注解 早稲田大学日本古典籍研究所主催による「渤海詩研究会」を六回開催し(2014年4月27日、7月6日、9月23日、12月7日、1月18日、3月8日)、『菅家文草』及び『田氏家集』所収の渤海使関係詩を精読した(成果は『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第8号に掲載)。 (2)「文」の概念に関する研究 「文」の概念に関する新たな体系を構築、発信する専門書(『日本「文」学史をひらく』(仮題)、全3冊、勉誠出版)の刊行を計画し、その第1冊『「文」の環境――「文学」以前』(仮題)の執筆担当者や関連分野の研究者らにより、編集のためのワークショップを開催し(2014年5月31日、6月1日)、編集作業を進めるとともに、第2冊『「文」と人びと――継承と断絶』(仮題)の内容を練り、目次構成や執筆担当予定者を決定するなど、それぞれ刊行に向けて研究、考察、検討を進めた。 (3)日本伝存漢籍に関する研究 早稲田大学日本古典籍研究所と中国・浙江工商大学東亜研究院との共催により2013年2月に開催したシンポジウム「文化の衝突と融合――東アジアの視点から――」の成果論文集(『アジア遊学』勉誠出版)を刊行すべく準備を進めた。また、書物をはじめとする東アジアの文化交流について、個別に研究発表、論文発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画に掲げた研究活動は、おおむね計画通りに進行しており、また、それぞれの研究活動において十分な成果を達成、発信できている。 (1)渤海使関係詩の精読注解は、関係する詩作品のうち、注釈稿がまだ活字化されていないものについて再度研究会において検討を行い、該当する作品の注解をほぼ終える段階に到達できた。 (2)「文」の概念に関する研究は、全三冊の『日本「文」学史をひらく』(仮題)の刊行を計画し、関連分野の研究者の協力を得ながら、第一冊目の編集のためのワークショップを開催し、最終稿の入稿まで進めることができた。また平行して、第二冊目の目次構成や執筆担当予定者などについて、編集会議を経て決定するなど、第三冊目までを見通した作業が進行中である。 (3)日本伝存漢籍に関する研究は、国際シンポジウムの成果論文集の刊行に向けて、編集作業が進行中である。 以上、研究代表者、研究分担者及び海外共同研究者が協力して、充実した研究活動が展開できており、また、その成果を発信、公表していくための緊密な関係が保たれている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、以下の3項目を研究活動の柱として研究活動を進めていく予定である。 (1)渤海使関係詩の精読注解 早稲田大学日本古典籍研究所主催による「渤海詩研究会」を年六回開催する。対象とするのは、対象となる詩文作品のうち、注釈稿の内容が公表できていないものを中心に、再度注解の内容を検討し、最終稿を仕上げていき、その成果を『早稲田大学日本古典籍研究所年報』第9号に掲載するとともに、渤海関係詩の注釈をまとめた単行の刊行物の出版にむけて準備を進める。また、詩文作品と合わせて、日本と渤海の間で取り交わされた外交文書についても、その漢文表現の解明を中心に読解に取り組み、内容の充実をはかる。 (2)「文」の概念に関する研究 海外共同研究者であるWiebke Denecke ボストン大学准教授との連携のもと、研究の成果を『日本「文」学史をひらく』全三冊(仮題)としてまとめ、公刊すべく準備を進める。本年度は、その第一冊『「文」の環境――「文学」以前』(仮題)を刊行するとともに、第二冊『「文」と人びと――継承と断絶』(仮題)の企画を進め、執筆者による編集ワークショップを開催し、新たな文学・文化史を発信する成果となるよう、研究、協議を行う。なお、第三冊『「文」から「文学」へ――東アジアの文学を見直す』(仮題)は2017年度の刊行を目指して取り組みを継続して行う予定である。 (3)日本伝存漢籍に関する研究 2013年2月に開催したシンポジウム「文化の衝突と融合――東アジアの視点から――」の成果を論文集(『アジア遊学』勉誠出版)として刊行すべく、引き続き編集の作業を進める。また、早稲田大学日本古典籍研究所と韓国東アジア古代学会の共催による学会を開催し(2015年12月予定)、それらを通して、東アジアの文化資産としての「古典籍」に関する研究発表、論文発表を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初は、2014年度の予算計画においては論文集出版費として800,000円を見積もっていたが、論文集の出版計画を進める過程で、出版そのものの経費は削減できることとなった。一方、刊行物の編集に関わるワークショップや学会の開催には、出張費や謝金、会議費などが必要であり、2015年度に開催予定のワークショップや学会をより充実した形で行えるように、一定の予算を2015年度に残すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に開催予定の『日本「文」学史をひらく』(仮題)第二冊編集のためのワークショップ及び韓国にて開催予定の学会における出張費、謝金、会議費などを中心に使用する予定である。
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Research Products
(43 results)