2012 Fiscal Year Research-status Report
古・中英語期の女性像の受容と変容―Аelfricのテクストと言語の基礎的研究
Project/Area Number |
24520310
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
島崎 里子 昭和女子大学, 文学研究科, 准教授 (90276618)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 古英語 / 中英語 / 女性 / Aelfric / Katherine Group |
Research Abstract |
初年度である平成24年度は、課題研究の基盤整備を中心に行った。女性を題材とする古英語散文作品のコーパスを網羅的に調査し、作品の分類作業を行うことで、当時の女性像の受容の実態と系譜の全容についてのアウトラインを徐々に明らかにしつつある。 具体的には、①写本、②既存の刊本(diplomatic editionの有無)、③ラテン語原典、④その他参考文献等の各項目に関する最新の情報を盛り込みつつ、女性というテーマに特化した古英語作品カタログ・データベースの編集・作成に着手したと同時に、既存の関連文献の刊本および論文資料の収集を集中的に行った。 また、次年度以降の作業のパイロット・スタディとしてAelfricの『聖人伝』(Lives of Saints)の中に含まれる8名の女性聖人を題材とする散文作品の中から、St Aethelthrythについて、古英語訳テクストをラテン語原典(Beda)と比較対照したパラレルテクストのtrial versionを作成し、作品構成を中心とする分析を行った。この成果は、論文「Aelfricの女性聖人-- St Aethelthrythをめぐって」として、『昭和女子大学女性文化研究所紀要』第40号, 1-14(2013)に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
女性というテーマに特化した古英語作品カタログ・データベースの編集・作成に必要な既存の資料の入手にあたり、海外研究機関との連絡に予想以上に時間を要して一時的に作業が停滞する時期があった。 その代わりに、次年度以降の作業を先取りするパイロット・スタディを先行して行うこととし、Aelfricの『聖人伝』(Lives of Saints)に含まれる8名の女性聖人を扱った散文作品のうち、St Aethelthrythの古英語訳とラテン語原典(Beda)を比較対照したパラレルテクストのtrial versionを作成、作品構成を中心に分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、女性を題材とする古英語散文作品のコーパスを調査し、作品の分類作業を行いながら、当時の女性像の受容の実態と系譜の全容についてのアウトラインを明確にする。平成25年度は、女性というテーマに特化した、古英語作品カタログ・データベースの編集・作成の完成を目指す。 また、この作業と並行して、Aelfricの女性を扱った散文作品の古英語訳テクストと原典のラテン語版のパラレルテクストの作成および比較対照分析も行い、彼の描き出した女性像の特徴を明らかにする作業も開始する。既存の関連文献の刊本および論文資料の収集も継続して進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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