2013 Fiscal Year Research-status Report
古・中英語期の女性像の受容と変容―Аelfricのテクストと言語の基礎的研究
Project/Area Number |
24520310
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
島崎 里子 昭和女子大学, 文学研究科, 准教授 (90276618)
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Keywords | 古英語 / 中英語 / 女性 / Aelfric / Katherine Group |
Research Abstract |
平成25年度は、関連文献資料の収集やデータベースの編集・作成など、前年度から行ってきた課題研究の基盤整備を継続して行うと共に、得られたデータを分析し、当時の女性像の受容の実態と系譜を明らかにするという次段階の作業にも着手した。 具体的には、(1)女性というテーマに特化した古英語作品カタログ・データベースの編集・作成作業を、散文分野について完了させると共に、(2)そのデータを利用して、女性に関するAelfricの古英語散文作品、および内容的にこれらと関連が認められる作品の抽出作業を行った。(3)更に、得られた作品データの分析作業を行ったところ、St. Maryを扱ったHomiliesについて、Aelfricの作品とそれ以降に成立したと思われる作者不詳の作品群との間に、ある種の系譜が認められることが明らかとなった。(4)また、Aelfricの古英語散文作品とラテン語の原典、および内容的に明らかに関連が認められる他の複数の古英語作品に描かれる女性像に着目して比較分析を行い、各作品の女性像の特徴を明らかにしながら、Aelfricの女性描写の独自性について検証を行った。(5)その成果は、論文"Aelfric's Attitudes towards Women"として、『昭和女子大学女性文化研究所紀要』第41号, 1-11(2014)に掲載した。 また、翌年の平成26年度に予定している、女性を題材としたAelfricの散文作品のディプロマティック・テクストを作成するための事前準備として、既存の刊本から、ベースとなる当該テクストの抽出作業も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の研究の目的の一つである、女性に特化した古英語作品カタログ・データベースの編集・作成はほぼ完了し、研究の基盤整備は順調に進行している。 他方、女性を題材としたAelfricの散文作品について、海外図書館で写本資料の調査を行い、ディプロマティック・テクストを作成するという計画は、当該図書館の改築工事の影響で、資料閲覧に一部制限が生じることが判明したために、今年度へ繰り越すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
女性というテーマに特化した古英語作品カタログ・データベースの編集作業を、前年の平成24年度に行った散文分野に加えて、今年度は韻文分野についても行い、全体を完成させる。 また、平成25年度から予定を繰り越した海外図書館での写本調査を、平成26年度は実施し、女性を題材とするAelfricの散文作品について、ディプロマティック・テクストの作成に取り組む。更にこの作業と並行して、Aelfricの描く女性像の特徴を、ラテン語原典および彼の同時代人たちの女性像と比較して明らかにする作業も継続して行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度に実施を計画していた海外図書館での資料閲覧が、当該図書館の改築工事の影響を受けて翌平成26年度に繰り越されることになったため、旅費等の海外出張に伴う費用が次年度使用額として発生した。 平成26年度に海外図書館での写本資料の閲覧を行うと共に、日本では入手困難な文献資料等を現地で入手する予定である。
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