2014 Fiscal Year Annual Research Report
新世代ディアスポラの系譜書き換え―告発の文学の求心性とダブルバインド
Project/Area Number |
24520383
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 道男 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (20187769)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 博司 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (20230427)
佐藤 雪野 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (40226014)
藤田 恭子 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (80241561)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ディアスポラ / ジーニアロジー / トランシルヴァニア / チェコ / ロマ / シンガポール / ナチズム / ヘルタ・ミュラー |
Outline of Annual Research Achievements |
移動の自由を得て生活の場を広げた新世代ディアスポラの現代文学の多くは,旧来の束縛を打破し,ディアスポラ外部及び内部にあった抑圧とその担い手を暴露してきた。一方,新世代ディアスポラには,近年系譜学的自己探求の動きが活発で,そこには,従前の系譜からの意図的書き換えが多く観察される。これには,実は体制の変化自体よりも,告発の文学に影響された,自己意識の変革が顕著で,同時に文学が内包する自己認識のダブルバインド状況も強く反映している。その様相を的確に描出し,告発の文学の最も切実な読み手である新世代が描く自己像と,その自己探求の拠り所を描出することを本研究の目的としてきた。この目的の達成のため,最終年度の本年度は①本年度の各研究者の個別事項として 1)「アーカイヴ化された文学と仮想空間のディアスポラをめぐる問題」に関する各対象ディアスポラに関わる論文の作成と学術雑誌への投稿を行った。2)藤田はヘルタ・ミューラーをめぐる文芸サークルに関する調査。3)佐藤は前年度に行った現地調査を補完する調査を今年度も行った。 ②研究組織の全体事項として 1)コロキウム「ディアスポラにみる文学の再発見と蓄積―アーカイヴ化されるマイノリティーの記憶―」を開催した。2)引き続き研究成果の公刊をおこなった。
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Research Products
(5 results)