2013 Fiscal Year Research-status Report
近代における日本古典文学の中国語訳に関する比較文学的研究
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24520405
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Research Institution | Tohoku University of Community Service and Science |
Principal Investigator |
呉 衛峰 東北公益文科大学, 公益学部, 准教授 (90458159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西槇 偉 熊本大学, 文学部, 准教授 (50305512)
李 哲権 聖徳大学, 文学部, 准教授 (70306455)
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Keywords | 日本古典文学 / 銭稲孫 / 中国語訳 / 翻訳論 / 国際研究者交流 / 国際情報交換 / 中国:台湾:香港 |
Research Abstract |
平成25年度はおおむね計画通りに研究を進めた。各参加者については、詳細は以下のようになる。 【呉衛峰(研究代表者)】平成25年度はまず、和歌の漢詩訳に見られるエリート主義の背景を分析し、口語体(現代白話)による中国語訳を試みた。それから、銭稲孫の日本近代文学の翻訳を調べ、古典文学の翻訳と通底する翻訳手法を確認した。さらに、戦争中の日本の新聞に掲載された銭稲孫へのインタビューを発見した。 【西槇偉(研究分担者)】豊子愷訳『源氏物語』所収の和歌の翻訳について、その後に現れたさまざまな翻訳と比較しながらその手法の異同と意義をしらべる一方、引き続き中国詩の日本語訳を試みており、日中詩歌の相互翻訳の意義と文化的背景について研究をしている。 【李哲権(研究分担者)】民国期における日本古典文学をふくむ日本文学の翻訳が如何に近代中国語文の成立に影響したかを、翻訳作品の文体分析を通じて検証した。 【頼衍宏(研究協力者)】台湾における『雨月物語』の中国語訳(林淑珍、1987)の翻訳の特徴と問題点について調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画に照らして、おおむね順調に進展している。 【呉衛峰(研究代表者)】銭稲孫による近世文学の翻訳への分析を平成26年度に伸ばし、同氏の近代小説の翻訳を分析したうえ、1980年代の和歌翻訳論争の原因について国際学会で発表した。 【西槇偉(研究分担者)】予定された調査を行った一方、引き続き中国詩の日本語訳を発表している。 【李哲権(研究分担者)】予定された調査を行っている。 【頼衍宏(研究協力者)】予定された調査を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は最終年度にあたり、関係者が緊密に連絡を取り合い、それぞれが収集した資料等をチームワークで共有しながらさらなる結果を出す予定である。 総仕上げとして、中国または台湾で現地の学者を交えて小規模なシンポジウムを行う。銭稲孫に関しては、完全ではなくても、本研究の業績として翻訳著作リストを作りたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者の一人が本年度科研費の使用において、研究旅行を行わなかったためである。 今年度使い切れなかった科研費は次年度は旅費にあてる。
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