2014 Fiscal Year Annual Research Report
近代における日本古典文学の中国語訳に関する比較文学的研究
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24520405
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Research Institution | Tohoku University of Community Service and Science |
Principal Investigator |
呉 衛峰 東北公益文科大学, 公益学部, 教授 (90458159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西槇 偉 熊本大学, 文学部, 教授 (50305512)
李 哲権 聖徳大学, 文学部, 准教授 (70306455)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 銭稲孫 / 豊子愷 / 周作人 / 日本古典文学 / 万葉集 / 源氏物語 / 翻訳 / 中国語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず、文革後の1980年前後の和歌翻訳論争を起点とし、そこには翻訳と異文化体験との関係という根本的問題への直接的言及が欠如しているのではないかと問題提起し、その後の日本古典文学、特に『万葉集』を代表ととする和歌や俳句などの和語韻文の翻訳実践を検証してきた。 また、翻訳がより難しい『古今集』以降の歌の翻訳実践において、枕言葉、序言葉、縁語など和歌の修辞特徴は如何に扱われているのかを、おもに数種の『百人一首』の翻訳を通じて調査した。同時に、周作人訳『枕草紙』『狂言十番』を原文と比較し、周作人の翻訳方法を考察した。 当時予定していた銭稲孫の著作リストについては、鄒双双による近著(2014)にはすでに詳細なリストが掲載されたので、自分の作成したリストと引き比べ、鄒著のリストに掲載されていない部分の存することを判明し、論文ノートもしくはネット発表で補足する計画を立てている。 本研究は全体として、銭稲孫と豊子愷の訳業を中心に研究を進めてきた。銭訳『万葉集』(選訳)や『源氏物語』(部分)への緻密な分析を通して、銭稲孫という優れた学者・翻訳家の業績を明らかにした。 また、豊子愷については、『源氏物語』の中国語訳を原文と比較しながら、様々な角度から実証的研究を進めて来た。翻訳の時代背景、依拠テキスト、出版事情、編集過程、後の翻訳への影響や読者受容などについて細かく分析して論文にまとめてきている。
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