2012 Fiscal Year Research-status Report
二〇世紀中国演劇における「記録」とメディアの多角的研究-劇評・新聞・図像を中心に
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24520412
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
藤野 真子 関西学院大学, 商学部, 准教授 (20332653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松浦 恒雄 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (20173792)
平林 宣和 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (40271358)
三須 祐介 広島経済大学, 経済学部, 准教授 (60339653)
田村 容子 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (10434359)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中国演劇 |
Research Abstract |
平成24年度については、各人がテーマとして設定している項目について、基礎的な口頭研究発表および単著論文作成を行っている。 研究代表者・藤野真子は、論文「『心聲半月刊』と1920年代の伝統演劇」において伝統演劇評発展の過程にあって、1920年代に上海で刊行された雑誌『心聲半月刊』をクローズアップして分析することで、同時代の批評対象の描写および批評言語の運用に関しその特質を論じている。研究分担者・平林宣和は論文「中華戯曲専科学校及其時代―1930年代中国社会対戯曲的認識與実践」において、伝統劇専門教育機関の同時代に果たした役割を、口頭研究発表「古装新戯與京劇的国粋化-1910年代京劇的新/旧/古」および論文「古裝新戲的“古”與“新”-略論梅蘭芳《天女散花》及其他」において、梅蘭芳とそのブレインが古装新戯というジャンルの確立過程で、視覚的要素をはじめ多様な側面で改革を進め、それが国粋化と結びついていく状況をそれぞれ論じた。研究分担者・田村容子は、口頭研究発表「京劇のなかの女性像―悪女と聖女、イメージと役柄の変遷」および「たたかう女性像の系譜―近現代の中国演劇における戦闘少女と寡婦」において、中国演劇における女性の形象が時代や地域の要請により、いかなる形で変化し発展していったかを分析した。研究分担者・松浦恆雄は、口頭研究発表「英雄の気と児女の情――劉知遠白兎記」において、同舞台作品登場人物の形象から看取しうる「英雄」と「児女」の系統的変遷について論じた。研究分担者・三須祐介は論文「明滅し揺らめく欲望─林懐民「赤シャツの少年」を読む─」にてパフォーマー・林懐民による言語を用いた形象表現の特質を、論文「もうひとつの『秋海棠』─上海滬劇史の一断面─」において民国期に映画化・舞台化された小説『秋海棠』の滬劇におけるアレンジおよびその演劇史的意義をそれぞれ論じた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように、各人がそれぞれのテーマにおいて、基礎段階の口頭研究発表および論文執筆を行っている。口頭発表の多くは論文化される予定であり、すでに論文化されたものについては、いずれも次のステップとなるテーマが内部に示唆されている。対象時期は民国期~二〇世紀中葉までに集中しており、新聞・雑誌などのメディアや小説と舞台表現との有機的関連性についても各論文で多角的に言及されている。「二〇世紀中国演劇における「記録」とメディアの多角的研究」をテーマとする本研究の根幹部分が、多彩且つ順当な形で確立していると言ってもよいだろう。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はまず、5月中旬に北京で開催される中国戯曲学院主催の「第五届京劇学国際学術研討会」にほとんどのメンバーが参加し、劇評、新聞雑誌等メディア、地方劇といった各人のテーマに関連のある口頭研究発表を行う。 また、夏期休暇・冬期休暇を利用した北京・上海・台北における資料調査および現地研究者との学術交流を今年度に引き続き実施する。2ヶ月に1回程度の定例研究会についても恒常的に開催し、関連分野研究者の招聘講演も実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に上記学会参加・資料調査における研究代表者・分担者・協力者の海外旅費、遠隔地研究分担者の集会のための国内旅費が中心となる。その他、招聘講演の謝金、関連図書映像資料の複写・購入のため研究費を使用する。
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Research Products
(9 results)