2012 Fiscal Year Research-status Report
カパンパンガン語の記述文法執筆のための調査研究:述語形態論および補文構造の解明
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24520462
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
北野 浩章 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20291263)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カパンパンガン語 / フィリピン諸語 / 述語形態論 / 補文構造 / 言語類型論 / 文法記述 |
Research Abstract |
今年度の当初の計画では、形態論および補文構造の調査対象となる動詞や名詞(形態論については800の動詞、補文構造については200の動詞・名詞)をまず決定することにしていたが、そのための十分な準備時間が取れなかった。 そこで、これまで未整理のままになっている動詞形態論の資料を整理・補足する調査に取りかかった。また、Haspelmath 1993, Nichols et al. 2004, Comrie 2006らの研究で用いられた類型論上重要な自動詞・他動詞のペアのリストがすでにいくつか公表されており、北野が参加している国立国語研究所の研究プロジェクト「述語構造の意味範疇の普遍性と多様性」で使用されている。これらのリストに挙げられているのはカパンパンガン語においても基本的で重要な動詞ばかりであるので、まずはこれらをもとに形態論の研究を開始した。現地調査は、2012年9月と2013年2月に、当初の予定通り研究協力者であるマイケル・パンギリーナンと行った。おおよそ150ほどの動詞(および形容詞)についてはかなり網羅的な調査を行い、各語の形態論の詳細が解明できた。さらには、BE A HUNTERのような、大多数の言語では名詞述語で表すのが一般的と思われるケースでも、カパンパンガン語では動詞を用いるということが判明するなど、形態論以外にも新たな発見があった。 一方、補文構造については、十分に研究を進めることができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究のために使える時間が、授業準備、大学業務などのため今年度は十分に確保できなかったことが主な原因である。特にフィールド調査は、二回にわたり行ったが、十分な期間を充てることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度不十分であった作業も含めて、次年度も調査を進めていく。 次年度の調査のために、形態論および補文構造の調査対象となる動詞・名詞を早急に決定する。フィールド調査も可能な限り能率よく行う。他の業務のために長期間の滞在期間を充てることができない場合は、渡航回数を増やすなどして十分な調査時間を確保する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フィールド調査が、予定していた期間より短くなったため次年度使用額が生じ、繰越をすることとなった。 なお次年度の研究費は、当初の計画通り、調査地までの旅費および研究協力者への人件費・謝金に用いる予定である。
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