2014 Fiscal Year Annual Research Report
バイツィ語ー南ブーゲンヴィルの危機に瀕する言語の記述研究
Project/Area Number |
24520488
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
大西 正幸 総合地球環境学研究所, 研究部, 客員教授 (10299711)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 危機言語 / ブーゲンヴィル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、平成26年8月末から9月初頭の約2週間、大西(研究代表者)、稲垣和也(研究協力者)、ポートモレスビー在住の研究協力者Rebecca Maniako(バイツィ語話者)の3名が、ポートモレスビーおよびブーゲンヴィル南部のバイツィ語・ナゴヴィシ語地域で、最後のフィールド調査を実施した。 大西とManiakoは、Maniakoの故郷であるバイツィ語地域のビケイ村に滞在、Maniakoの両親や他の協力者とともに、テキスト・語彙の収集とチェックを行なった。また、バイツィ語で識字教育が行なわれている2つの初等学校を訪れ、担当教員からバイツィ語教材の収集とその音声録音を行なった。帰途、ポートモレスビーのManiako宅にて、彼女およびその妹と、おもに動詞形態論のデータの分析整理を行なった。また、稲垣は、隣接のナゴヴィシ語地域でナゴヴィシ語2方言の語彙調査とその分析を続行、バイツィ語との比較語彙リストを完成した。 帰国後、大西はバイツィ語の語彙・テキストデータを整理しながら、バイツィ語の簡易記述文法(英語)の執筆を開始。また稲垣はナゴヴィシ語の語彙データを整理しながらその音声・音韻分析をめぐる論文執筆(日本語)の準備を始めた。いずれも平成27年度中の完成を目指している。 この他、今年度の主な成果として、大西は、平成26年9月末に、総合地球環境学研究所で主催した国際シンポジウムでバイツィ地域の識字教育に関する発表を行ない、また10月には、琉球大学国際沖縄研究所「新しい島嶼学の創造」主催のセミナーで、南ブーゲンヴィルの言語を含む社会歴史状況について発表した(後者は同プロジェクトの年次報告書に掲載)。なお、ブーゲンヴィルの言語・言語教育の現状をめぐる大西論文を掲載した、同島嶼プロジェクトの出版物『島嶼地域の新たな展望』が、26年4月に出版された。
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