2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520504
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
丹羽 哲也 大阪市立大学, 文学研究科, 教授 (20228266)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 日本語文法 / 名詞 |
Research Abstract |
本研究は、日本語の名詞について、その「関係性」という面に焦点を当てて考察しようとするもので、関係名詞・抽象名詞の文法的性格を解明し、意味の記述を深めていくことを目指している。具体的には、(1)連体修飾構造における主名詞の意味と修飾関係の類型についての、申請者自身のこれまでの研究を深化させる。(2)連体修飾構造におけるテンス・アスペクトに関して、申請者がかつて行った研究を名詞の種類に着目して再検討する。(3)存在文に関して、そこに用いられる関係名詞・抽象名詞に着目して、従来とは別の観点からの類型化を目指す。(4)名詞述語文、題目文について申請者がかつて行った研究(『日本語の題目文』和泉書院、2006)を、題目名詞と述語名詞の性質という観点から発展させる。(5)上記(1)~(4)を統合して、名詞の意味と文構造との関係の類型がどのようなものか、その体系化の足がかりを築く。 この中で、24年度は次のような研究を行った。 (ア)相対補充関係と内容補充関係が、独立するタイプと重なり合うタイプとを分けられるという主張をし、それが関係名詞の広い範囲に成り立つことを示した。これは前年度までの研究(基盤研究(C)「視点と基準点の諸問題」)と本課題の研究とにまたがるものである。 (イ)連体修飾節構造のテンス・アスペクトの問題として、いわゆる「内の関係」と「外の関係」のそれぞれにおける基本形とタ形の対立のありようを考察した。特に、「外の関係」において、基本形・タ形それぞれの意味と主名詞の性格とが密接に関係し、かつ、述語の性格まで絡んで、対立のありようが複雑であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」欄で示した研究内容のうち、(1)申請者のこれまでの研究を受けて、連体修飾節構造における主名詞の意味と修飾関係についての類型をまとめること、(2)同構造におけるテンス・アスペクトの問題について、主名詞の性格に着目して基本形とタ形の対立のありようをまとめること、この二つは達成できた。しかし、(3)存在文に関する考察や(4)名詞述語文、題目文に関する考察は、少ししか踏み込めなかった。関係名詞は、種類や数の多さが多く、その振る舞いに個別性が高いので、それぞれの問題に対して、全体的な考察をすることがかなり困難であり、時間もかかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」欄で示した研究内容のうち、(3)存在文に関する考察や(4)名詞述語文、題目文に関する考察を行い、合わせて、これまで行った(1)連体修飾節構造における主名詞の意味と修飾関係の類型、(2)同構造におけるテンス・アスペクトのありようとを総合して、(5)名詞の意味と文構造との関係の類型がどのようなものであるか、その体系化のための基礎的な考察を行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の直接経費80万円の内5万円程を繰り越した。次年度分と繰り越し分を合わせた研究費は、日本語学関係の書籍や日本語のデータベースソフトの購入を中心に使用する。合わせて、学会・研究会の出張費用、また、必要に応じて、収集した日本語データの整理のための謝金などに使用する予定である。
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