2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520566
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
安 龍洙 茨城大学, 留学生センター, 教授 (80361286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 光男 茨城大学, 人文学部, 教授 (10261728)
内藤 哲雄 福島学院大学, 福祉学部, 教授 (20172249)
藤原 智栄美 茨城大学, 留学生センター, 准教授 (40510201)
杉浦 秀行 茨城大学, 留学生センター, 講師 (70619626)
池田 庸子 茨城大学, 留学生センター, 教授 (30288865)
松田 勇一 宇都宮共和大学, シティライフ学部, 講師 (50406279)
奥村 圭子 山梨大学, 留学生センター, 教授 (10377608)
石鍋 浩 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 助教 (90424051)
|
Keywords | 外国人 / 対日観 / 日本人 / 外国観 / 意識の変化 / 相互理解 / 異文化理解 / PAC分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、外国人と日本人双方の日本観及び外国観について認知的・情意的側面からその特徴と変化を探り、それぞれの深層構造を明らかにすることである。2013年度の研究計画は1)アジア出身者以外の対日観の調査を行いアジア出身者の結果と比較すること、2)日本人と外国人双方の留学観の調査をすることである。安(2014)の韓国人の日本留学観においては反韓感情に対するマイナスイメージと地震や原発事故に対する不安が表れる一方で、優しく親切な日本人像も同時に表れており、かなり複雑な日本留学観を有していることが示唆された。安他(2014)のブルガリア人の対日観ではアジア出身者に共通する傾向がみられる一方で、伝統的な日本・日本文化に対するイメージが多く、対日観の変化においては特定のイメージが強くなったり、来日後に新しいイメージが生まれたりしていることがわかった。池田(2014)は韓国語短期語学研修を終えた日本人学生を対象に「海外留学」に対するイメージを調査した結果、異文化体験による価値観の違いを認識したことや留学を自己成長の場として捉えることなどが示された。藤原・杉浦(2014)は工学系留学生の留学生活についての調査を行った結果、日本人との人間関係に関するイメージが最も多く表れ、特に研究室における他者との関係性及び自身の立場が留学生活観に影響を与えている傾向があることが示された。松田(2014)はウクライナ人を対象に日本留学前後の対日観の変化について調べた結果、アジア圏の日本語学習者と共通するものが多く、対日観の変化においては、留学によってイメージがより強化されるものや具現化されるものが多いことがわかった。 以上、2013度は、1)海外留学前後の意識の変化、2)外国人の対日観とその変化、3)工学系大学院留学生の留学生活についてPAC分析を行いそれぞれ論文発表(計5編)した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたように、2013年度の研究計画は、1)アジア出身者以外の対日観の調査を行い、これまでの先行研究(主にアジア出身者)の結果と比較すること、2)日本人と外国人双方の留学観(日本人の外国留学観、外国人の日本留学観)の調査をすることである。 2013年度は、外国人の日本人と外国人双方の留学観の変化については、韓国人留学生の来日前後の日本留学観の変化(安:2014)及び日本人学生の韓国語短期研修前後の留学観の変化(池田:2014)についてPCA分析をしてそれぞれ論文発表をした。また、藤原他(2014)は、工学系留学生(ネパール人、マレーシア人、コソボ人、エジプト人)を対象に日本での留学生活についてPAC分析をして論文発表した。外国人の対日観については、安他(2014)はブルガリ人を対象に、松田(2014)はウクライナ人を対象に、それぞれ対日観とその変化についてPAC分析を行い論文発表した。 今後、英語圏や中南米の対象者にも同様の調査を実施し、これらの先行研究の結果と比較検討を行い、対日観及び対日観の変化の全体像を探っていく予定である。現在、台湾人・インドネシア人・タイ人・中国人対象者の日本留学観の調査を終えて分析中である。また、医療関係留学生の日本留学観及びイギリス人対象者の対日観に関する調査も行っている。さらに、日本定住者(オールドカマー、ニューカマー)についての調査も進めている。これらの調査の結果については研究代表者と研究分担者が学会発表(国内外)及び論文発表を計画している。研究分担者の内藤は、複数の国での海外滞在経験を持つ日本人の自国観(日本観)の変化についてのPAC分析を行い、国際学会での発表が決まっている。 以上、今年度はアジア出身以外の被験者の中心に分析を進め、先行研究の結果との比較検討を行って論文発表をしており、当初の予定通り順調に研究が進んでいると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、アジア出身以外の被験者のデータをなるべく多く収集し対日観及び対日観の変化について分析し、アジア出身者を対象としたこれまでの先行研究の結果と比較検討しながらそれぞれの特徴(共通点、相違点)を探る予定である。また、アジア出身者については、来日前後の対日観及び留学観の変化をさらに調べ、先行研究との比較検討を行い、被験者間の共通点と相違点を多角的に検討する。さらに、日本定住者及在日韓国人などのデータも収集し、オールドカマーとニューカマーとの比較検討も行い、対日観とその変容についての全体像を探る予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度は、当該テーマのデータ収集に当たり、主に研究代表者及び分担者が勤務する大学及び大学近辺に在住する被験者を対象としたため、当初の計画より旅費の支出が少なかったことにより支出の額が減少した。 2014年度は、海外在住者のデータの収集に必要な海外出張の旅費として、今年度の繰り越し分に相当する額を使用する予定である。
|