2014 Fiscal Year Annual Research Report
教科学習場面における言語少数派生徒に対する日本人生徒のスキャフォールディング
Project/Area Number |
24520591
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
清田 淳子 立命館大学, 文学部, 教授 (30401582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇津木 奈美子 帝京大学, 帝京スタディアブロードセンター日本語予備教育課程, 講師 (90625287)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 言語少数派生徒 / 日本人生徒 / スキャフォールディング / 教科学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、日本人生徒と言語少数派生徒が参加し、日本人生徒に「言語少数派生徒を助ける」という役割が期待されている学習支援を対象に、研究課題(1)~(3)の検討を通して日本人生徒が言語少数派生徒の学びを支えていくことの可能性を追究した。 (1) 日本人生徒はどのようなスキャフォールディングを用いて言語少数派生徒の内容理解を促しているか。 (2) 学習支援を行う日本語支援者は、日本人生徒のスキャフォールディングの獲得や発揮をどのように導いているか。 (3) 学習支援に参加する言語少数派生徒と日本人生徒は、学習支援に対してそれぞれどのような意識を持っているか。 分析の結果、課題(1) (2) については、日本人生徒は24種類のスキャフォールディングを用いて、言語少数派生徒の教材文の音読や内容理解を支え、言語少数派生徒の言語行動にフィードバックを行うことで理解の深化や発言を促したり、学習意欲を喚起していた。同時に、日本人生徒は自らの学習活動を通じて日本語学習言語や教材文理解のモデルを示したり、「わからなければ質問する」という問題解決の仕方も提示するなどの「間接的な」スキャフォールディングを行っていた。一方、支援者は日本人生徒に対して、足場のかけ方を明示的に伝えたり実演してみせるなどの働きかけを行っていた。以上のことから、水平的な関係にある日本人生徒も言語少数派生徒の学びの「支え手」になる可能性をもつことが認められた。 課題 (3) では、日本人生徒においては、言語少数派生徒に積極的に関与していく姿勢、対等な関係性、言語少数派生徒の「代弁者」としての意識が認められた。一方、言語少数派生徒にとって日本人生徒と共に学ぶ場は、言語面だけでなく思考の面でも学びを深め、助け合う関係を醸成する場であった。このような関係が醸成されていくことが 言語少数派生徒の学びの継続性に繋がっていくことも示唆された。
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Research Products
(4 results)