2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520610
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
片山 晶子 東京大学, 教養学部, 特任講師 (10622805)
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Keywords | JGSS / 英語使用 / 資本 / 混合メソッド / インタビュー / ナラティブ |
Research Abstract |
研究の2年目にあたる平成25年度は、当初の計画どおりそのほとんどをインタビューデータの収集に費やした。昨年度の量的データJGSS(Japanese General Social Surveys))の二次分析の結果から、全体のわずか10%に満たない日本人英語使用者の中でクラスターと認められた2つのグループは:グループ1.女性、30代後半から40代前半、高学歴、都市在住、高社会経済階層、グループ2.男性 40代半ば、高学歴、都市在住、高社会経済階層であった。この2つのグループの大きな相違点は英語使用の目的で男性は圧倒的に仕事であるのに対し、女性は趣味、旅行、交友であるという点である。2グループのプロファイルに合致するインタビュー対象を、同僚知己を通じて24年度末から25年度の初めにかけてさがし、5月半ばごろまでにそれぞれ3人ずつを確保することができた。また以上のクラスターと対照することを目的に、グループ3としてクラスターにはならないが、少数存在する高学歴、都市在住、高社会経済階層のいずれにもあてはまらない英語使用者へのインタビューも男女1人ずつ加えることとした。インタビューは複数回実施し録音した。 上記以外の活動として平成25年10月同分野の研究で世界的業績のある久保田竜子教授(University of British Columbia)に東京大学駒場キャンパスにてワークショップを開催していただき、本研究への助言を得た。また3月にオレゴン州ポートランドにてAmerican Association for Applied Linguisticsの年次大会があり、本研究と同様の混合メソッドを使った他研究の発表に共著者として参加した折に、本研究に関係のある先端的研究に理論、テーマ、方法の3点で関連のある研究発表を聞き、研究者との交流ができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年をかけた複数回のインタビュー(1人2回から3回で1人合計約3時間。関東圏5名関西圏2名)では英語使用の現状、おいたち、今後の計画、日本における英語の現状に対する意見等を聞いた。参加者はみな協力的で、総じて回を重ねるごとにうちとけて内容の充実したナラティブデータになっていった。 インタビューは年度内に予定のほぼ9割は終了している。上の項のグループ3にあたるアウトライヤー(英語を話す日本人のプロファイルからはずれているが、日常的に英語を使っている人)のみデータ収集はやや難航し、現段階でインタビュー参加者をあと1名探している。また時間の制約からデータの書きおこしならびに分析はまだあまり進んでいない。しかしながら本研究のグループ1に関する論文“What is my English for?” のproposalがAssociation Internationale de Linguisitque Appliquee (AILA) 2014 Conference, Brisbane, Australia.にポスター発表で採択されたので、このテーマから分析に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はまず、データ収集が完了していないグループ3のアウトライヤー(英語を話す日本人のプロファイルからはずれているが、日常的に英語を使っている人)のインタビューを済ませる予定である。それ以外は平成26年度の研究計画はほぼ科研申請時の計画通り、データ分析と論文の執筆に集中する。データ分析では質的データ分析ソフトウェアNvivoを使用するので、ソフトウエアの研修もさらに必要になると思われる。合わせて論理背景である「資本」の概念について、ピエール・ブルデューを出発点として、より深い探究も必要となってきている。 初年度に収集分析した量的データと2年度目の質的データを合わせた最終的な分析結果を論文としてまとめるべく、まずは平成27年3月カナダトロントで開催される米国応用言語学会年次大会で量的部分を担当した研究協力者と共同での発表することをめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定していたインタビューのうち1割ほどがまだ行われていないため、謝金に充てるべき資金が次年度使用となった。 上記の繰り越したインタビューの謝金にあてる。
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