2012 Fiscal Year Research-status Report
高難度英語CEFRリスニングテストをTOEIC等主要英語検定試験にマッピングする
Project/Area Number |
24520644
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
松井 順子 明海大学, 外国語学部, 准教授 (00275819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯澤 伸夫 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (00220525)
橋本 文子 東京家政学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20237928)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リスニング / CEFR欧州共通参照枠 / イントネーション / 発音 / 音声 / マッピング / ビジネス英語 / 聞き取り |
Research Abstract |
本研究では、大人の英語学習者のための速度が速い自然な音声とイントネーションのリスニングテストを主要英語検定試験を用いてCEFR(欧州共通参照枠)にマッピングする。学習者は聞き取りにくいリンキング等の音声現象を集中的に聞くことによって、効率よく短時間に英語を聞き取る力を養うことができるようになる。出来上がったテスト等をインターネットで一般公開し、ビジネスマンや学生等が段階的に英語のリスニング力を身につけることができるようにする。 昨年は音声のパラメータを抽出するためのデータベースを作るシステムを構築した。 聞き取りにくい音声(リンキング、同化、弱化、フラップ化、成節子音、脱落)やイントネーションをパラメータ化し、今後、TOEIC等の検定試験を用いてCEFRにマッピングする。 多くの英語学習者は英語を読むことができるが聞き取りが難しいと感じている。潜在的な英語力が活かしきれていない学習者が自由に英語を駆使できるためのリスニング・ツールを構築する。本研究で聞き取りにくい音声の個数、種類、語彙の難しさなどを調整し、難しさの度合いをレベル分けする。完成した音声テスト、練習問題、タスク等をインターネットで一般公開し、データを集め、プロジェクト終了後、一般使用者の上達率を緩やかに継続観察し、続けてレベルを調整する。学校現場で扱われることが少ない難しい音声の変化やイントネーションのリスニングテストのレベル別システムを作成する。 現在の大人の英語学習者は、英語を読み、書き、話すことができるのに、ビジネスで聞き取ることができず、イントネーションを適切に使用できないことが多い。潜在的に英語力があるのに、会話の場でその力を充分に発揮できず、交渉の際に不利な立場におかれたりすることがある。本研究でビジネスパーソンや学生が音声現象を集中的に学習し、マスターできるシステムを構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
データベース作成システムを完成した。今後、このデータベースを既存英語学習システムにつなげ、学習環境を整え、データを回収する。1.リンキングや同化等の聞き取りが難しい音声の組み合わせが含まれている文をCEFRやCEFR-J(根岸2010参照)に沿って作成した。複数のパラメータを設け、項目を修正・編集する際にパラメータごとに変更できるようにデータベースを設計した。パラメータとしては:音の難しさ、トピック、談話の種類(アナウンス、スピーチ、対話等)、抽象度、持続時間、音節数・語数、語彙の難しさ、文法、速度、選択問題・書きとり問題、再生回数、画像つき・なし、文字つき・なし、イントネーションの型、背景知識の有無、専門知識の有無、判断力の有無などを設け、引き続き調整している。2.英語学習者に作成した音声を聞いてディクテーションや演習問題を実施している。3.作成したデータベースで最終的に1000文以上のデータベースを作成している。 パラメータの数を増やしたため、手作業で進める予定の作業をコンピューター化することにした。データベースを作成するためのプログラムを構築した。今後、微調整し、同時に作成している例文を入力できる準備を進めている。 今年度に第一ラウンドの後半の作業―データベースへの既作成の例文入力、レベル別判定を行い、テスト後、レベル調整し、さらに項目を追加し、第二ラウンドのベンチマーク作業に進む。すべての項目をTOEICを用いてCEFRにマッピングし、テストの成績を更なる指標にレベル判定を行う。また、必要に応じて評定者などを用いてレベルを判定する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年作成したデータベース作成システムのデータベースを既存英語学習システムにつなげ、学習環境を整え、データを回収する。 1.作成した例文データベースのデータを学習者に提示し、正答率に基づいてそれぞれの項目のCEFRレベルを再設定する。 2.また、速く、カジュアルな音声の正答率とゆっくりはっきりとした音声の正答率の差を比較・検討する。先ず速く、カジュアルな音声を聞かせ、続けてゆっくりはっきりした音声を聞いてもらう。同じテストを統制群になるネーティブ英語話者に受けてもらう。必要に応じて研究代表者、分担者、協力者が他の機関に依頼してテストを受ける受験者を増やす。 3.テスト結果とCEFRによる自己評価、主要検定試験、ネーティブ話者の結果、 パラメータを用いてリスニングテストをCEFR・CEFR-Jにマッピングする。 4.テストを受けた学習者の正答率と項目の正答率をそれぞれソートし、CEFRのレベルのCut off pointを設定する。再び、不適切な問題を精査し、編集・削除・レベル調整する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2012年度に作成したデータベース構築システムのデータベースをインターネットで配信できるシステムにつなげ、データを回収できるシステムを作成する。通常の英語検定テスト等の聞き取りにくい音声の数百倍多くの難しい音声を含む分をイントネーションと併せて提示する。現在の英語教育現場で扱われることが少ないリンキング、同化、弱化、フラップ化、成節子音、脱落が場合によっては、全て一文に含まれる。 具体的には下記の問題を解消し、システムが完全に稼働できる環境を整えたい。 1.現在、英語学習者がインターネットで音声を聞き、問題に答えるシステムが作動しているが、システムで可能なテストやドリルの機能が少ない。例えば、項目を提示する画面で画像と文字を逆の順番に表示できないなど、システムがまだ柔軟に稼働していない。本研究で音声、画像、文字を柔軟に組み合わせ、提供したいので、システムを改良する必要がある。 2.システムを分割する:現システムはトップページが一つしかないため、全てのユーザー(学内、学外、一般)が一つの画面からログインしなければならないので、使用者目的別に指示を出したり、対象別にアドバイスを提供することができない。本研究で多種類の使用者を想定しているので、システムを分割し、学内、学外、一般ユーザー別にトップページを設け、別々に作業内容を設定し、その間で共有できる指導用のビデオ等は共有できるようにしたい。 3.データベースがパンクしないようにする:現在のシステムはデータを収集し続ける形式なので、多数のユーザーが同時にアクセスし、リスニングの練習をする際はサーバーにデータが蓄積し続け、サーバーが機能しなくなる恐れがある。このため、定期的にサーバーを管理し、データを処理する必要がある。 4.イラストを描いていただく:写真やイラストを見てリスニング問題に回答してもらう項目があるので、イラストを制作発注したい。
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