2013 Fiscal Year Research-status Report
高難度英語CEFRリスニングテストをTOEIC等主要英語検定試験にマッピングする
Project/Area Number |
24520644
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
松井 順子 明海大学, 外国語学部, 准教授 (00275819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯澤 伸夫 宇都宮大学, 国際学部, 教授 (00220525)
橋本 文子 東京家政学院大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20237928)
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Keywords | リスニング / CEFR / マッピング / 聞き取り / レベル調整 / 英語 / 評定 / 評価 |
Research Abstract |
本研究では、大人の英語学習者のための速度が速い自然な音声とイントネーションのリスニングテストを主要英語検定試験を用いてCEFR(欧州共通参照枠)にマッピングする。学習者は聞き取りにくいリンキング等の音声現象を集中的に聞くことによって、効率よく短時間に英語を聞き取る力を養うことができるようになる。出来上がったテスト等をインターネットで一般公開し、ビジネスマンや学生等が段階的に英語のリスニング力を身につけることができるようにする。 二年に亘って音声のパラメータを抽出するためのデータベースを作るシステムを構築した。聞き取りにくい音声(リンキング、同化、弱化、フラップ化、成節子音、脱落)やイントネーションをパラメータ化し、今後、TOEIC 等の検定試験を用いてCEFRにマッピングする。 多くの英語学習者は英語を読むことができるが聞き取りが難しいと感じている。潜在的な英語力が活かしきれていない学習者が自由に英語を駆使できるためのリスニング・ツールを構築する。本研究で聞き取りにくい音声の個数、種類、語彙の難しさなどを調整し、難しさの度合いをレベル分けする。完成した音声テスト、練習問題、タスク等をインターネットで一般公開し、データを集め、プロジェクト終了後、一般使用者の上達率を緩やかに継続観察し、続けてレベルを調整する。学校現場で扱われることが少ない難しい音声の変化やイントネーションのリスニングテストのレベル別システムを作成する。 現在の大人の英語学習者は、英語を読み、書き、話すことができるのに、ビジネスで聞き取ることができず、イントネーションを適切に使用できないことが多い。潜在的に英語力があるのに、会話の場でその力を充分に発揮できず、交渉の際に不利な立場におかれたりすることがある。本研究でビジネスパーソンや学生が音声現象を集中的に学習し、マスターできるシステムを構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、音声問題の正答率に合わせて出題問題の難易度を調整するプログラムをシステムに追加した。過去のリスニングデータで分析した結果に基づいて抽出した式(松井2013): 内容語の数/単語数-難しい音変化/単語数×15 を基に聞き取りの難しさを予め設定し、実際の聞き取りデータに基づいて難しさのレベルを常時再評価する。データが蓄積した段階で上記式を修正する。時間をかけてさらに精度の高い式を見出す。 昨年度はさらにデータベースを複数のホームページからアクセスできるようにシステムを組み替え、音声学習ソフトを公開後に複数ユーザーが同時に使用できるように整えた。最終的に1000文以上のデータベースを作成する。現在、200文分のデータをアップロードし、今後、微調整し、同時に作成している例文を入力できる準備を進めている。今年度さらにデータベースへ文を入力し、レベル別判定を行い、テスト後、レベル調整し、さらに項目を追加し、第二ラウンドのベンチマーク作業に進む。評定者よりも実際の聞き取りデータを評価基準にする方が精度が高い(リスニングの現状分析が正確な)ので、今年度はリスニングの結果回収とデータベースのレベル設定を繰り返し、問題のランク付け、評価の式の改善を行う。 Matsui, J. (2013).“A More Comprehensive Listening Evaluation Scale for Japanese Learners of English matched up against the CEFR-J” 「CEFR-Jに対応した英語学習者の包括的リスニング評価尺度」, Meikai Journal – Faculty of Language and Culture, 26, 2013.3
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Strategy for Future Research Activity |
現在、200文分のデータをアップロードし、今後、微調整し、同時に作成している例文を入力できる準備を進めている。今年度さらにデータベースへ文を入力し、レベル別判定を行い、テスト後、レベル調整し、さらに項目を追加し、第二ラウンドのベンチマーク作業に進む。データは現在、手作業で評価している。例:”got” を間違って“gat”と表記した場合、評価が1点満点で0.3点、“office”の「f」の数が1文字多いか少ない場合(offfice、ofice)は0.8点。しかし、手作業で評価するのは莫大な時間がかかり、評価基準を設定しているが、間違いも生じるので、今後プログラムを作成し、機械的にチェックする環境を整える。また、今後、一つ一つの難しい音声の組み合わせを自動的にシステム上チェックできるプログラムを備えたい(例:[t] + [j] → "chu"、what you → wha-chu)。問題に正しく答えた場合は自動的に次のランクに進み、不正解の場合は、自動的にやさしい問題を提示し、学習者がちょうどよいレベルの学習ができるシステムを最終的に構築する。 今後、正答率に基づいてそれぞれの項目のCEFRレベルを再設定する。必要に応じて研究代表者、分担者、協力者が他の機関に依頼してテストを受ける受験者を増やす。テスト結果とCEFRによる自己評価、主要検定試験、ネーティブ話者の結果、パラメータを用いてリスニングテストをCEFR・CEFR-Jにマッピングする。不適切な問題を精査し、編集・削除・レベル調整する。 通常の英語検定テスト等の聞き取りにくい音声の数百倍多くの難しい音声を含む分をイントネーションと併せて 提示する。現在の英語教育現場で扱われることが少ないリンキング、同化、弱化、フラップ化、成節子音、脱落が場合によっては、全て一文に含まれる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
現在、各ユーザーの回収データ(ワード)を手作業で一ワード、一ワードずつ評価している。およそ50人分の入力、10文を処理するのに1-3日程度かかる(50人 X 10文 X 7ワード = 3,500ワード)。また、手作業で処理した場合は細かい分節音(what youの”t”が聞き取れているかどうかなど)は拾っていないので、正確に評価できない。分節音も含めると同じデータを処理するのに10日-20日程度かかる。細かい分節音が拾えない場合、リンキングや弱化など、難しい音声が聞き取れているかどうか判断できない。将来、システムを一般公開し、不特定多数のユーザーが使用することを想定しているので、ユーザーが場合によっては数百人、延べ数千人に及ぶ可能性があるので手作業でデータを評価することが不可能である。データを正確に迅速に処理し、ユーザーが適切なレベルで学習できるシステムを確保するためにプログラムを構築したい。 システムにはさらにパラメータを増やす。例えば、音の難しさ、トピック、談話の種類(アナウンス、スピーチ、対話等)、抽象度、持続時間、音節数、語彙の難しさ、文法、速度、選択問題・書きとり問題、再生回数、画像つき・なし、文字つき・なし、イントネーション(ピッチなど)、背景知識の有無、専門知識の有無、判断力の有無などを組み込む。 本年度は分節音の抽出プログラムを追加し、予算の範囲内で可能なその他の機能(リンキング、同化、弱化などが聞き取れているかどうかなど)を加えたい。全ての機能を時間をかけて網羅したい。
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Research Products
(5 results)