2012 Fiscal Year Research-status Report
平安期荘園の存在形態と特質に関する研究―「領域型荘園」概念の再検討―
Project/Area Number |
24520773
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鎌倉 佐保 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60468824)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 荘園 |
Research Abstract |
本研究課題の平安期荘園の存在形態と特質を明らかにするための基礎として、平成24年度には、平安期荘園関係史料の基礎データの集積と、史料学的研究をおこなった。 まず、平安期荘園を全体的に把握するための基礎となる平安期荘園のデータベース、荘園ごとの史料データベースを作成した。当年度は『平安遺文』を中心に、その他日記類(刊本)から史料の網羅的集成をおこなった。目録作成には一般公開されている既存の荘園データベースや史料データベースも利用したが、同名荘園の異同や所在国・荘園領主比定の間違いなども多くあり、その確認・修正もおこなった。目録作成には当初想定以上の時間を要したため、この作業は次年度も継続して行う。また『平安遺文』所載史料には、刊行時点と現所蔵が変わっているものも多いため、現所蔵の確認をおこないデータを修正するとともに、『平安遺文』等の刊本未収録文書の所在確認、翻刻、データ集積をおこなった。 また次年度以降分析対象とする荘園の関係史料について原本調査をおこなった。国立歴史民俗博物館所蔵栄山寺文書の原本調査では、文字、摺り消し、朱筆、合点等を確認した。また尼崎市文化財収蔵庫では、同市所蔵の摂津職猪名所地図、猪名荘関係東大寺文書の原本調査を行い、精確な情報を得るとともに、新出文書の翻刻をおこなった。 当年度の調査は、平安期荘園および平安期荘園関係史料を全体的に把握し、次年度以降、平安期荘園の実態分析、空間・領域と負担構造の解明をおこなうための基礎となるデータ集成である。 またこれらの作業・基礎データの修正とともに、当年度は栄山寺文書を中心として、史料の現存・非現存を含めた史料分析をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平安期荘園に関する史料の集積には一般公開されている既存の荘園データベースも利用したが、既存のデータベースで集積されている関係史料の情報には、同名荘園の異同や、国の比定の間違い、荘園領主の間違い・未詳など、個別の史料に即した確認・修正が必要なものも多く、確認作業には想定以上に時間を要した。また現所蔵が不明になっているものなど個別史料の情報集積など、個々の史料に関して確認作業に時間を要した。そのため、当年度中に完成を予定していた目録の作成が当初予定よりも遅れることとなった。それにより、史料分析、および史料原本調査、荘園現地調査について、予定通り進まなかったところがある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず基礎となる荘園データベース、荘園関係史料データベースを完成させ、平安期荘園、平安期荘園史料の全体を把握し、史料の残存・非残存を含めた平安期荘園史料の全体像をまとめる。そのうえで、個別荘園の実態分析、荘園経営の実態解明を進める。 個別荘園の実態解明のための史料分析においては、荘園の負担構造の解明を中心におこなうが、それとともに荘園形態の実態と空間構成を明らかにするため、荘園の現地踏査もあわせておこなう。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
荘園データベース、荘園関係史料データベースを完成するための作業を継続しておこなう。データ入力・史料調査補助として、研究補助者1名に作業を依頼する。 24年度未使用額については、来年度に調査を予定している。個別荘園の実態解明のための史料分析に関して、史料の原本調査をおこない、精確な史料の情報を得る。 そのほか荘園現地調査をおこなう。
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