2015 Fiscal Year Annual Research Report
平安期荘園の存在形態と特質に関する研究―「領域型荘園」概念の再検討―
Project/Area Number |
24520773
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鎌倉 佐保 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (60468824)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 荘園 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに作成した平安期荘園データベースの充実をはかり、また追加の調査として伊勢国内の平安期荘園(東寺領川合・大国荘、伊勢神郡内)の現地調査、備前国香登荘の現地調査をおこない、関係資料の確認をおこなった。 以上をふまえ、これまでおこなってきた調査・分析の結果を総括した。まず、従来「免田・寄人型荘園」概念で捉えられてきた10・11世紀の荘園については、多くの荘園が領域をもっており、免田型の荘園は地域的に限定されること、領域をもつ荘園においては荘園領主を主体とする領域内の開発・経営が行われていたことを明らかにし、「免田・寄人型荘園」概念は、荘園の免除のあり方のみをとらえたもので、荘園の形態をあらわす概念としては不適当であることをが明らかとなった。しかしながらこの段階の荘園の領域と負担構造は国衙支配との関係のなかでいまだ安定的なものとはなっておらず、荘園整理令の発令によってそれがさらに動揺することとなった。だがそのなかで荘園の再編成(立荘)が展開し、さらに一国平均役賦課の動向のなかで、荘園の領域と負担構造が確定されていったことを明らかにした。院政期に一国平均役賦課が確立していく様相と荘園の領域確定との関係については、鳥羽院政期とくに近衛天皇即位の大嘗会役がひとつの画期となり荘園本免田をも対象とした一国平均役賦課が確立していくこと、また、その後の保元の内裏造営に際して賦課された一国平均役において打ち出された方針が、荘園の領域と負担構造を整序していくことになったことなどを明らかにした。
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Research Products
(1 results)