2013 Fiscal Year Research-status Report
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24520780
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
赤澤 史朗 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 上席研究員 (80202513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 茂樹 立命館大学, 法学部, 教授 (10107360)
小関 素明 立命館大学, 文学部, 教授 (40211825)
福井 純子 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (60460713)
梶居 佳広 立命館大学, 経済学部, 非常勤講師 (60537306)
城下 賢一 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (70402948)
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Keywords | 憲法改正 / 政府憲法調査会 / 憲法調査会最終報告書 / 地方紙 / 社説・論説 / 自由民主党 / 日本社会党 / 民主社会党 |
Research Abstract |
平成25年度のこの研究チームの第一の目標として、1957年の岸内閣における政府憲法調査会の実質活動開始から、1964年の憲法調査会最終報告書の採択までの期間の、地方ジャーナリズム上での憲法社説・論説の調査収集の大半を終える、ということがあげられる。この目標は、研究分担者の梶居佳広が中心となって、国立国会図書館の本館及び関西館、横浜の新聞ライブラリー、各地方の公共図書館を精力的に巡回することで、ほぼ達成されたといえよう。北海道から沖縄まで北海道東北地区、関東地区、中部地区、近畿地区、中国四国地区、九州沖縄地区の各ブロックを網羅して、平成25年度までに地方紙49紙でその収集を終え、6紙でこの期間の憲法記念日論説のみの収集を終えることができた。特に北海道東北地区の新聞は、完全に収集した。後は落ち穂拾い的に、調査収集を進めるだけである。 目標の第二は、各役割分担に基づいて歴史的な憲法問題での研究を進めることである。この点を研究代表者・分担者それぞれについて言うと、赤澤史朗はこれまで研究のなかった「藤田省三の戦後天皇制論」の研究発表を行い、小関素明は「憲法改正問題と歴史学」その他の研究発表を行い、中島茂樹は「自民改憲草案」について論じ、梶居佳広は朝鮮戦争期の地方新聞論説で研究発表を行い、城下賢一は「岸政権の公共事業の展開と選挙」などの論説を発表するなど、着実な成果を挙げている。福井純子の政治漫画などメディア史関係の調査も進んでいる。研究成果の中には英文の論文も含まれ、研究の国際化にも貢献している。今後は、これらの研究発表をまとめ、次年度の研究成果報告書の刊行に向けて研究を進めるばかりである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず労力のかかる、地方新聞の憲法関係社説の収集作業が順調に推移しているのが、その第一の根拠である。既に現状の収集段階でも、地域と意見の違いのかなりのバラエティを見出すことができる状況にあるといえようが、全体としてみると、この1957年~63年の時期には、社説・論説数も多くなく、憲法改正問題への関心の低下が目立っている印象がある。 次に、憲法問題の研究がある程度進んでいるのも、第二の根拠である。憲法改正問題は、戦後長い期間存在し、時代的な比較の見地が欠かせない。その比較の視点の研究が進んでいるとともに、天皇制に関しては、「風流夢譚」事件をきっかけとした藤田省三の極めて原理的な天皇制論が初めて問題とされた。また、岸内閣の政策研究も進んでいるといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に沿って、調査研究活動を進めていきたい。 地方紙論説の収集は、最終年度として補充調査を進めていく。その上で全体の中で、各地方紙の位置づけを考えたい。 憲法問題研究は、前述のように比較史的に問題を追及したいと考えている。 その上で本年度末には、最終報告書をとりまとめるつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一つには年度末に購入した物品の支払いが、次年度4月以降となったことが最も大きい、次いで科研代表者の、本研究会集会への参加のための年度末の旅費執行が、代表者の急病のため取り消されたことによるものである。さらに部分的には、地方紙社説の収集のための、調査研究旅費とアルバイト謝金がかなり予定額より多いと中途で予測し、抑制気味に対処したことから、予想より少ない支払いになったためである。 本年度経費の大きな部分を占める科研報告書の刊行費は、過去二回の実績から考えて、950,000円以上になると考えられており、1,000,000円を越えるかも知れない。そのために研究代表者、研究分担者の研究経費と調査旅費が圧迫されることがないよう、計画的に配分し、支出計画を立てていきたい。 具体的には昨年度当初に予定して、必要な物品の購入や前年度に抑制した調査旅費の執行を行い、とりわけ地方紙の補充調査など、各人の調査研究に遺憾なきを期したい。
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