2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24520844
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
蔵持 不三也 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (40195540)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 変形頭蓋 / 民俗慣行 / フランス / 歴史人類学 |
Research Abstract |
研究初年度にあたる平成24年度は、変形頭蓋(クラン・トゥールーザン)の実例に関する基礎的なデータ収集を行った。そこで9月にパリ自然史博物館の資料室を訪れ、「生物人類学コレクション」部門の主任教授フィリップ・メヌシエ(Philippe MENNECIER)博士のご厚意により、同資料室に保管されている変形頭蓋25点の写真撮影と、それぞれの頭蓋に関する資料の収集を実施した。また、12月には変形頭蓋の呼称ともなっているトゥールーズの自然史博物館で、同様の資料収集を行った。 一方、頭蓋変形に関する民俗資料に関しては、残念ながら前記メヌシエ氏やトゥールーズ自然史博物館でもしかるべき情報を得ることができず、辛うじてタルン(Tarn)県の歴史・民俗関連書や、パリの18世紀の歴史書にそれぞれ数頁の記載を見つけるのにとどまっている。予想はしていたが、今のところ、民俗学や歴史学からのこのテーマに関する研究はかなり限定されているといわざるを得ない。 ただ、主に19世紀から20世紀初頭にかけて、パリ人類学会のポール・ブロカ(Paul Broca)をはじめとする研究者(医師、形質人類学者など)の論文や学会総会の議事録は、相当数入手することができた。これらの論文は大部分が解剖学的な関心に基づいているが、慣行自体がいわばリアルタイムでなされていた時代のものであるだけに、今後の研究に大いに役立つはずであり、現在、その解析を行っている最中である。今の段階では、この「奇習」がフランスのみならず、ヨーロッパ各地に広くみられたことがわかっているが、なぜそれが行われていたのかという点については、その慣行の深層構造ともども、明らかにしていかなければならない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究と直接関係する先行研究が少なく、資料収集に若干手間取っているが、これはある程度予定していたことであり、現段階で今後の調査研究に見通しがたっている。また、すでに入手済みの文献資料には、決して数多くないが、頭蓋変形慣行に関する他の資料の言及があり、これからはその文献にも鋭意あたっていくつもりである。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は9月に再び渡仏し、昨年得た情報をもとに、レンヌ(ブルターニュ地方)の民俗博物館および6月に開館予定のマルセイユのフランス・地中海文明博物館(渡航費・フランス国内旅費発生)で、コレクションにある変形頭蓋の実例を調査し、あわせて関係個所でのこの慣行に関するさらなる情報を収集する。と同時に、今年度は主に地域の高齢者から、この慣行に関する聞き取り調査も実施し、より実態的な資料の収集を図る予定である。 また、パリの国立図書館や国立古文書館などで、変形頭蓋に関する文献調査も鋭意行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1)国内旅費: 90,000円 2)外国旅費:845,000円 人件費・謝金:347,000円 3)消耗品費(図書購入費・コピー代):18,000円
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