2013 Fiscal Year Research-status Report
近世日本国家領域境界域における物資流通の比較考古学的研究
Project/Area Number |
24520860
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
渡辺 芳郎 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (10210965)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 達人 弘前大学, 人文学部, 教授 (00241505)
池田 栄史 琉球大学, 法文学部, 教授 (40150627)
|
Keywords | 近世国家領域境界域 / 物資流通 / 南北比較 / 陶磁器 |
Research Abstract |
平成25年度は,当初の計画通り,2回の調査と1回の研究会を実施した。 鹿児島県十島村の分布調査を,平成25年8月9日~17日に実施した。中之島・諏訪之瀬島・悪石島・宝島の計4島を踏査し,中世から近世(一部近代)にかけての陶磁器資料を採集した(計167点採集。中之島10地点57点,諏訪之瀬島2地点10点,悪石島8地点25点,宝島18地点75点)。 奄美大島瀬戸内町の瀬戸内町立図書館・郷土館が保管している陶磁器類の悉皆調査を実施した(予備調査:平成25年9月12日~14日,本調査:同年11月14日~17日)。同館には同町の西家・武家という旧家から寄贈・寄託されている陶磁器資料(西家:41件134点,武家:13件60点)があり,それらをすべて写真撮影を行い,また調書を作成した。 研究会は,研究分担者の池田榮史氏(琉球大学)と関根達人氏(弘前大学)とともに,北海道道南部の遺跡・資料館等で実施した(平成25年10月25日~28日)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十島村における踏査の結果,同島において流通していた国産陶磁器は鹿児島県本土域におけるそれと共通する部分もあるが,各島で18世紀後半~19世紀の清朝磁器を採集することができ,このことは近世十島が,沖縄(琉球)との交易が盛んであった可能性を示唆している。 瀬戸内町郷土館・図書館における西家・武家伝来資料の調査の結果,両家の陶磁器は18世紀後半から20世紀にかけての陶磁器類が多数含まれており,とくに白薩摩丁字風炉や肥前染付大皿などの存在は,南西諸島域の有力家における陶磁器所有の具体像を知る上で,貴重な手がかりとなった。 北海道における研究会では,道南地域の近世遺跡出土資料を観察することにより,北方の国家領域境界域における物流の状況を把握し,三者により鹿児島・沖縄における状況と比較検討を行った。また松前城下町跡出土資料に薩摩土瓶,琉球産荒焼が確認できたことも南北間の物資流通を考える上で,貴重な資料である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,十島村口之島の踏査を実施し(6月予定),また中之島の十島村歴史民俗資料館が所蔵する臥蛇島伝来の近世陶磁器の図化・写真撮影を実施する(8月予定)。 また10月末に,研究分担者の池田榮史氏,関根達人氏とともに,鹿児島においてシンポジウムを開催し,今回の調査研究の成果を広く公開する。 最終的に成果をまとめた報告書を刊行することで,成果を公開する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度において,十島村口之島の分布調査ならびに中之島の十島村歴史民俗資料館における臥蛇島伝来の近世陶磁器を調査する予定であったが,本務多忙のため,実施できなかった。 十島村口之島分布調査(6月予定) 十島村中之島十島村歴史民俗資料館資料調査(8月予定)
|
Research Products
(4 results)