2014 Fiscal Year Annual Research Report
土器胎土からみた混和を伴う縄文土器製作システムの研究
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24520863
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
河西 学 帝京大学, 文化財研究所, 講師 (60572948)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 建速 東海大学, 文学部, 教授 (20408058)
中村 利廣 明治大学, 理工学部, 教授 (60062022)
今村 啓爾 帝京大学, 文学部, 教授 (70011765)
小林 謙一 中央大学, 文学部, 教授 (80303296)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 縄文土器 / 混和 / 阿玉台式 / 土器胎土 / 蛍光X線分析 / 薄片 / 岩石鉱物 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年目の成果は、①相模原市大日野原遺跡で追加の阿玉台式土器の分析、 ②三鷹市坂上遺跡の阿玉台式土器の分析、③笛吹市甲州市釈迦堂遺跡、茅野市長峯遺跡、中ッ原遺跡出土阿玉台式土器の肉眼観察、④笛吹市前付遺跡の貯蔵砂・粘土塊・曽利Ⅱ式土器の分析、⑤研究成果の公開などである。それぞれの概要は次の通りである。 ①考古学的には東関東的な阿玉台式土器を追加で分析した。土器は前年度までの分析結果と調和的な白雲母を伴う岩石鉱物組成を示し、大日野原遺跡周辺での土器作りの可能性は低いと推定された。②他遺跡との比較でSiO2が低いこと、岩石鉱物で堆積岩が多いことは武蔵野地域の地域性を示す可能性があることから、坂上遺跡周辺の地元地質を原料にして搬入した雲母などの混和材を混ぜて地元で土器作りがなされていたことが推定された。③阿玉台式分布の縁辺部に位置する各遺跡の完形土器を肉眼観察し、搬入土器と推定した。④同一住居内から出土した貯蔵砂・粘土塊・曽利Ⅱ式土器の分析から、貯蔵砂は2km以上離れた笛吹川から採取された河川砂であることが推定され、粘土塊や土器は、地元原料と貯蔵砂を混和して作られたと推定された。同様の混和による土器作りが阿玉台式においても想定された。⑤平成26年11月29日に明治大学で公開シンポジウムを開催し、成果を「混和を伴う縄文時代の土器作り―阿玉台式土器と土器原料―資料集」として公開した。 3年間の本研究の成果は、地元原料をもちい雲母などの特定混和材を混ぜた阿玉台式の土器作りが各地でなされていたことが推定されたこと、さらに一般的な混和の状況を曽利式の土器作りにおいて明らかにすることができたことである。
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Research Products
(16 results)