2013 Fiscal Year Research-status Report
子どもの非行・虐待防止のための地域社会ネットワークの実証的研究
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24530074
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
石川 正興 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (50120902)
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Keywords | 少年非行 / 児童虐待 / いじめ / 住民ボランティア / 少年警察ボランティア / コミュニティ・スクール / 補導委託 / 更生保護 |
Research Abstract |
平成25年度は前期(7月迄)と後期(8月以降)に分け調査研究を実施した。 前期では、前年度に引き続き、研究代表者・連携研究者・研究協力者の全構成員が参加した形の研究会を実施した。具体的には、6月7日に東京都青少年・治安対策本部関係者との意見交換会(第2回東京部会)の他、全構成員間でこれまでの調査結果の情報共有や今後の方向性を確認すべく5月25日と8月3日に全体会を開催した。 後期では、上記を踏まえ、一層緻密な調査研究が行えるよう5つの研究グループに分け研究活動を行った。具体的には、「A.警察関係グループ」「B.学校関係グループ」「C.児童相談所関係グループ」「D.家庭裁判所関係グループ」並びに「E.研究代表者・保護観察関係グループ」である。 そこで、グループ毎に先行研究・公的記録等に関する調査を実施した他、東京保護観察所(10月25日)、NPO法人子どもの家足立(11月1日)、防犯寺子屋(同日)、社会福祉法人カリヨン子どもセンター(同月14日)、社会福祉法人嬉泉(12月12日)、NPO法人東京都更生保護就労支援事業者機構兼東京都更生保護就労支援事業所(同月17日)、札幌市学校教護協会・北海道警察本部少年課少年サポートセンター・札幌市若者支援総合センター(2月3~5日)、NPO法人日本ガーディアン・エンジェルスによる子ども安全セミナー講師養成講座(同月13・20日)、防犯寺子屋による防犯ライブ(同月14日)、並びに稲城市発達支援センター・NPO法人子どもセンターてんぽ(3月24日)といった各種関係機関・団体等に各グループで分かれて訪問し調査研究を実施した。また、NPO法人セカンドチャンス!等に所属する高坂朝人氏(3月8日)、並びに元神奈川県警察・江﨑澄孝氏及び元福島県警察・半沢通氏(同月22日)を招聘して活動実態や課題等について報告いただくなどし、制度の現状と課題を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄記載のとおり、これまでの調査結果を踏まえ、平成25年度の後期より5つの研究グループを編成した。本科学研究費助成事業の応募書類作成当時に想定した2つではなく、5つの研究グループに細分化したことによって、結果的に一層緻密な調査研究を実施することができた。具体的には、研究対象機関・団体等への聞き取り調査実施回数は、前期は1回であったが、後期は17回とかなり充実したものとなっている。これにより、地域社会と学校・警察等との密接な連携体制構築のための諸条件に関する基礎的な調査資料について、かなりの部分で収集することができた。これは、上記の応募書類において示した本研究の目的に十分適ったものであると言える。このように平成25年度も十分な研究成果が得られており、最終年度となる平成26年度においても、こうした研究成果を土台として引き続き本研究を推進するとともに、最終的な研究成果の取りまとめを実施していくことができる体制にある。 上記を踏まえ、本研究は、現在まで、おおむね順調に進展しているものと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、前年度に編成した5つの研究グループを基に、対象とする機関・団体等の活動実態に関して更なる調査研究を遂行する。なお既に、6月7日には民間非営利団体マザーハウス、同月14日にはBBS会、また7月中には札幌市学校教護協会に関する調査研究を実施することが予定されている。その他の実態調査も随時進めつつ、10月頃までを目処にグループ毎の調査研究を完了させる予定である。 また、上記の調査研究と同時に、前年度に引き続き、グループ毎の先行研究・公的記録等に関する調査も実施していく。少年非行・児童虐待防止のための地域社会ネットワークに関する先行研究や、公的機関が作成した報告書等の公的記録をさらに収集する予定である。これらの文献や記録の検討を通して、少年非行及びその背景要因の一つになりうる虐待の防止を目的とした地域住民ボランティア活動に関して、これまでにどのような評価がなされてきたか、また地域住民ボランティア活動活性化のための実践的な方策としてどのような提案が行われてきたのかを、最終的な総括と提言を念頭に置きながら解明する。 そして、11月以降には、本研究グループ全体で上記の調査結果等を総合し検証を行う予定である。その上で、本年度末には、研究成果を総括し、少年非行・児童虐待の防止に向けた地域住民によるボランティア活動を今後一層活性化させるための諸条件に関して提言をも示すことにしたい。 なお、これまでの研究実績については、研究代表者が所長を務める早稲田大学社会安全政策研究所のHP(http://www.waseda.jp/prj-wipss/index.html)上で広く社会へ発信しており、今後も継続して発信していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の調査研究においては、助成金を使用するに際して無駄なく有効に活用すべく、出来る限り安価に抑えた形で航空券の取得や物品の購入などを行った。また、同年度には、本研究の構成員(研究代表者・連携研究者・研究協力者)が研究対象の機関・団体等に赴いて聞き取り調査を行うだけでなく、機関・団体等の関係者を招聘し報告いただく報告会を開催する形でも調査研究を実施した。後者の形で調査研究を実施することにより、報告会の場を通じて本研究の構成員が広く知見を共有することができたとともに、旅費を報告者の分のみの支出とすることができた。 以上の結果、本科学研究費助成事業の応募書類作成当時に想定していた使用額よりも低く抑えることができ、次年度使用額が生じることとなった。 次年度使用額に当たる助成金も、平成26年度入金額の助成金とともに、研究実績報告書記載の「今後の研究の推進方策」に従って使用する。とりわけ今年度前半は前年度に引き続き、研究対象である機関・団体等の関係者による報告会等を通じて、活動実態に関する更なる調査研究を遂行する予定である。そこで、そのための旅費・謝金等として使用することになる。 なお、今年度も、上記の「理由」欄記載のとおり、助成金を無駄なく有効に活用すべく、出来る限り安価に抑えた形で使用する方針である。
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