2013 Fiscal Year Research-status Report
マンションの老朽化・被災等に関する比較法的考察を基礎とした立法論研究
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24530103
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鎌野 邦樹 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (00204610)
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Keywords | 比較法 / 比較法研究 / 国際情報交換 / ドイツ::オ-ストリア:ベルギ-:韓国:中国 / マンション / 区分所有法 / 区分所有法制 / マンション法制 |
Research Abstract |
本研究は、日本の区分所有建物法制の喫緊の課題であるマンションの維持・改良(耐震補強を含む。)並びに老朽化及び被災マンションに対する法的措置について、諸外国の立法例及びその運用状況の調査・研究を踏まえて、解釈論及び立法論を提示することを目的とするところ、本年度においては、前年度の研究成果を踏まえ、また、前年度の調査・研究を継続して、研究実施計画に従って、次の①~③の調査・研究を実施した。 ①基礎作業(外国法の日本語訳等) 本研究の対象とする外国法のうち、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、台湾の各法令については、既に前年度までにほぼ全訳を終えていたが、本年度においては、韓国法(2013年改正法)、中国法、オ-ストリア法、スイス法、ベルギ-法等の日本語訳に着手し、このうち、中国法およびベルギ-法については、ほぼそれを完成させた。 ②研究会の開催と「立法例比較一覧表」の作成 合計8回の研究会を開催し、研究代表者および連携研究者(10名程度)の報告に基づき数カ国の外国の法制に関する理解を深めるとともに、前年度抽出した比較すべき項目について「立法例比較一覧表」を作成していき、50パ-セント程度完成させた。 ③海外研究協力者との情報・意見交換及び海外調査の実施 9月の研究会においては海外研究協力者である韓国・朝鮮大学のカン教授と(同研究会には中国からの留学生(新潟大学)である高建氏も参加し報告)、12月の研究会においては同じく海外研究協力者であるインスブルック大学のホイブライン教授と情報・意見交換会を行った(同研究会には法務省の立法担当者もオブザ-バ-として参加)。また、2月には、ベルギ-法制等の調査のためリエ-ジュ大学法学部等を訪問しル-コック教授等と情報・意見交換をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前記「研究実績の概要」において記したように、本年度の「研究実施計画」にある調査研究をおおむね実施することができたと考える。特に、「研究実績の概要」の③に記載した海外研究協力者との情報・意見交換においては、それを通じて、特に、これまでのわが国の研究において空白の領域であるオ-ストリア法及びベルギ-法について日本法の参考とし得る事項を発見・調査できたことは大きな成果であった。すなわち、これまでのわが国の研究では、ドイツ法やフランス法を大いに参照していたが、前記の両法は、これらの立法とは異なる点が多々あり、これらがむしろ日本法の課題の解決等に参考となり得る側面を認識できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、前年度及び本年度の研究成果を踏まえて調査・研究を推進していくが、本研究の最終年度であるので、研究全体のとりまとめの方向で次の①~③の調査・研究を推進していく予定である。 ①諸外国法制の翻訳の完成 ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、韓国、中国、台湾、ベルギ-、オ-ストリア、スイス、ギリシャ、オ-ストラリア等の立法について、最近の改正も盛り込みつつ翻訳を完成させる。 ②研究会の開催と「立法例比較一覧表」の完成 年間に6回程度の研究会を開催し、「立法例比較一覧表」を完成させる。なお、その成果については、中間段階ではあるが、6月に開催される比較法学会のミニシンポジュウム(ドイツほか5カ国)にて報告をし、また、他の諸国については、平成27年4月開催予定のマンション学会の分科会にて報告する予定である。 ③海外研究協力者との情報・意見交換および海外調査の実施 引き続き、ドイツ・オ-ストリア、フランス、アメリカ、ベルギ-、韓国、中国等の研究者・研究機関とのEメイル等を通じての情報・意見交換を行うほか、オ-ストリア・スイス等の海外調査を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年3月開催の研究会参加のために、連携研究者1名の国内旅費を予定していたが、同研究者が本務校の業務のため急遽参加できなくなったため。 次年度(2014年度)に開催される研究会出席のための連携研究者の国内旅費ないし消耗品として使用することを計画している。
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Research Products
(6 results)