2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本の少数派エスニック集団統合政策:排外主義と多文化共生主義
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24530165
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松本 邦彦 山形大学, 人文学部, 教授 (40241682)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多文化共生 / 地方議員 / 意識調査 / 国際化 / 政治家 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は調査対象地域とした山形県最上地域/長野県飯田下伊那地域/大阪市の三地域について地方議員の意識調査をおこなった。 まず夏季には予備調査として各地域の議員に聞き取りをおこなうとともに、若干の現地調査もおこなった。また外国人教育や日系人集住の他の地域についても訪問調査をおこなった。そして衆院解散総選挙後の今年2月から3月にかけて議会事務局を通して調査票を送付し、郵送で個別に回答を得た。結果は全対象者数278人に対して回答121人、回答率43.5%だった。最上では対象者90人で回答率62%、飯田下伊那では対象者102人で回答率52%と高率であったものの、大阪市では対象者86人で回答率14%と極めて低率であった。 現在は雑誌論文掲載に向けて分析を進めているが、概要を示したい。国政上の方針として実習生や高度人材の受け入れ、帰化の容易化、移民招致等についてはどれも賛意が多い。地域の変化については肯定的な評価が多く、日本文化を損なった、日本人の仕事を奪った、治安が悪化した等の声は少数であった。一方で町内会や消防組織への参加は特に後者について進んでいないと見られている。地方公務員、地方参政権についても拡大派が多数を占めたが、朝鮮学校を無償化措置の対象に入れるかどうかでは否定派が5割と賛成派の3割を圧倒した。「村山談話」の支持者が圧倒的に多いこと、「ヘイトスピーチ」の法規制への賛意が多いことも考慮すると、歴史的経緯よりも現在の日朝関係の悪化に対する懸念が背景にあると思われる。 多文化共生の課題としての重要性については非常に重要/やや重要とする議員は約5割にとどまったものの、総じて多文化共生については肯定的な態度が多数を占めたと言える。今後は、大阪市や他の日系人集住地域のように、外国系住民が人口に占める割合が高い地域や、オールド・カマー中心の地域についての調査が課題である。
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