2013 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける自由貿易協定と海外直接投資に関する実証研究
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24530252
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
岡部 美砂 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (20434649)
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Keywords | 海外直接投資 / 自由貿易協定 / 東アジア |
Research Abstract |
平成25年度の前半の課題は、前年度までに計画していたFTAが直接投資に与える「直接的効果」についての推計と分析を行い、論文の執筆と報告を行うことで本研究課題の第一段階の成果を完成させることであった。企業レベルデータの整理と加工を行い、FTAデータベースを完成させ、推計・分析および論文執筆を行った。平成25年度中に、国際大西洋経済学会での報告が受理され、平成26年4月初旬に発表を行った。 さらに、平成25年度の後半の課題として、非関税障壁データの整備を計画し、これについては、ASEAN域内貿易の特に農産物を中心とする貿易コストの増大要因に関する研究を行い、データを蓄積した。 また、FTAが直接投資に与える間接的効果についての研究は、貿易相手国との自由貿易協定の相手国だけではなく、貿易相手国と第三国との間の自由貿易協定が、日本からの直接投資に与える影響の推計を、前述の「直接効果」と合わせて推計・分析を行った。この分析のために、日本のFTA相手国の締結している第三国とのFTAに関する「間接的FTAネットワーク」のデータを構築し、空間推計の手法を応用した推計を行った。当初の計画に従って、分析は動学的パネルデータを用いたものを適用しているが、推計の過程で、企業データレベルでの欠損値が数多く見つかった。そのため、一時的に、企業データを集計したデータとして欠損値を埋める形で推計を行っている。これらの分析は、論文にまとめて前述の学会で報告したが、平成26年度には企業レベルデータの分析に発展させ、学会報告および専門誌への投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
FTAが直接投資に与える間接的な効果については、日本のFTA相手国が第三国と締結しているFTAが日本企業の直接投資に与える影響を中心に分析する。その際、動学的パネルデータの手法を用いているが、欠損値データが多く、ミクロレベルでの推計がまだ完成していない。引き続き、分析手法を工夫し、ミクロレベルでの分析を完了したい。また、非関税障壁については、特定の品目およびASEAN諸国に限定されている。これは、非関税障壁の範囲が非常に広く、膨大なためであるが、優先順位をつけて順次拡大していく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度はこれまでに行った、FTAが直接投資に与える「直接的効果」の論文の発表と投稿作業を引き続き行う予定である。さらに、「間接的効果」に関しては、FTA相手国と第三国の間のFTAが日本からの直接投資に与える効果についての分析を行うが、現在進行中の、企業レベルデータを用いた分析を完了させることを中心に進める。これらの研究成果は、平成26年度中に行われる国際学会での報告および専門誌への投稿で発表することを目指す。また、間接的効果については、構築途中の非関税障壁データを用いて、分析を進め、平成26年度中に論文の形にまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に学会発表を行う予定であったが、データ加工などで時間がかかり論文完成の時期に、専門分野の学会が開催されていなかった。申込および報告決定は平成25年度内であったが、平成26年度初頭に一件、学会発表を行ったため、平成25年度分の出張予算を繰り越す形になった。また、同時に英文論文の完成の後、英文校正の作業での予算の支出が年度末に事務処理手続き上、行えなかったため、平成26年度の早い時期に行うよう繰り越している。 平成26年度中に、国際学会での報告を2回以上予定している。また、平成25年度中に執筆した論文の英文校正の作業も、平成26年度分と合わせて行う予定である。さらに、それらの論文の専門誌への投稿のための費用(投稿料)として使用する。
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