2013 Fiscal Year Research-status Report
学童保育が女性の就業継続・再就職に与える影響に関する実証分析
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24530258
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山本 陽子 名古屋市立大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00326159)
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Keywords | 女性の就業行動 / ライフイベント / 育児休業 / ファミリー・フレンドリー政策 / 家族資源 / 学童保育 / 性別役割分業意識 / 夫の家事時間 |
Research Abstract |
H25年度は、公益財団法人家計経済研究所(当時 財団法人家計経済研究所)の『消費生活に関するパネル調査』と全国学童保育連絡協議会の『学童保育情報』を基に、ライフイベント前後における女性の就業継続に関する実証分析をおこなった。分析では、1990年代から2010年代にかけての20年間に、女性の就業行動の変化について考察した。女性たちが、結婚、出産、子どもの就学というライフイベントを契機に離職する要因について分析し、加えて、ファミリー・フレンドリー政策・制度がどれだけ就業継続に貢献するのかについて分析を行った。さらに、学童保育の充実が女性の就業継続にどのような影響があるかを分析した。分析結果から、育児休業関連法などの法律による影響は、出産前後において継続を促し、家族資源(夫の家事時間、親との同居)が長子出産時と長子入学時に正に影響し、性別役割分業意識(結婚前からの専業主婦希望)が全てのタイミングで負に影響する結果が得られた。加えて、2000年代以降の学童保育事業が女性の就業継続に与える影響を考察したところ、就業を促進する効果が見られた。さらに、家族資源と学童保育施策との関係をみると、夫の家事時間との交差項が正に有意な結果が得られた。これは、学童保育施策だけではなく、学童保育と家族内における子育て資源の両方が利用できることが就業継続において重要であることを示唆している。分析結果は、『季刊・家計経済研究』(2013)に掲載された。また、2014年の生活経済学会でも報告予定である。 また、学童保育の現状と課題に関する実態を調査するために、学童保育指導員に対するヒアリング調査を行った。この結果も論文としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H25年度は実証分析に用いる2つのデータ、公益財団法人家計経済研究所(当時 財団法人家計経済研究所)の『消費生活に関するパネル調査』と全国学童保育連絡協議会の『学童保育情報』のマッチング作業を行い、女性のライフイベントにおける就業継続の決定要因分析と学童保育の影響に関する分析を行った。分析結果は『季刊・家計経済研究』(2013)に掲載された。また、2014年の生活経済学会でも報告予定である。 学童保育の現状と課題についての実態調査を行うために、学童保育の実施主体へのヒアリング調査を行った。H24年度とH25年度あわせて3団体へのヒアリング調査を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度は学童保育の利用者に対する調査を行う予定である。これに関してはヒアリング調査とアンケート調査を予定している。これにより、H25年度に行った、女性のライフイベントにおける就業行動の決定要因と学童保育の影響についてより詳細な分析が行えると予想される。また、状況に応じて、厚生労働省の縦断調査の二次利用も検討している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は予定していた学童保育利用者に対する調査を行うことができなかった。理由はデータ分析、論文の執筆に集中をしていたためである。 H26年度に学童保育利用者に対するヒアリング調査、インターネットを用いたアンケート調査を実施する予定である。
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Research Products
(2 results)