2012 Fiscal Year Research-status Report
インドにおける経済格差分析のための農村都市連結産業連関表の推計
Project/Area Number |
24530265
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新保 一成 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (80226349)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
疋田 浩一 神戸夙川学院大学, 観光学部, 准教授 (00454786)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 産業連関表 / 国際情報交換 / インド / 農村 |
Research Abstract |
平成24年度は,インド政府が公表する2003-04年全国産業連関表を都市部と農村部に分割する作業を進めた。 インド政府が作成公表する産業連関表の製造業に関連する部分は,登録事業所についてAnnual Survey of Industry(ASI),非登録事業所についてはNational Sample Survey(NSS)を基礎データとして作表されている。われわれは,これらの基礎データのマイクロデータを入手して,都市部と農村部の個々の製造事業所における投入産出関係を産業連関表部門に集計し,全国産業連関表を都市部と農村部に分割した。その際以下の2点に留意した。(1) ASIについては1998-99年から2007-2008年までの登録事業所別パネルデータが利用可能である。産業連関表が作表された年次の投入係数(産出額あたりの原材料・エネルギー投入金額または量)が,事業所ごとの時系列の中で異常な値になっていないかどうかをパネルデータによって確認した。(2) ASIとNSSの調査年次が異なるので,年次調整を全数調査であるEconomic Censusを利用して行った。 次のステップは,都市部と農村部の交易表を作成することであるが,交易表を作成するための基礎データについて21012年8月にインドのTERI(The Energy and Resources Institute)を訪問して情報を収集した。同時にTERIが実施しているエネルギー消費に関する農村家計調査に同行して,マディヤ・プラデーシュ州のボパールにあるライセン村とラジガー村の農村家計でのインタビューを実施した。農村家計のエンゲル係数は60%から80%と高く,支出の多くが費やされる日々の食料に関する都市依存度は低く,燃料についても薪,牛糞がほとんどで,都市依存度が極めて低いことを示すサンプルが得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度中に,農村都市交易表作表のための基礎データの把握および収集の目途をつけるはずであった。インドを訪問して調査した結果,公式統計には地域間交易,流通に関するものが皆無に等しいことが判明したため,情報収集という点において計画よりも遅れる結果となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の中心課題は,農村都市の交易表の作表である。交易に関する公式統計が皆無に等しいことが判明したので,研究協力機関であるTERI(The Energy and Resources Institute)の協力を得てサンプル調査を実施することが必要になった。また,個々の事業所の地理情報を利用して原材料,エネルギーの距離を加味した調達コストの最小化などの数学的方法を用いて交易表を推定することも検討している。サンプル調査から得られた結果と数学モデルから得られる結果の溝をどのように埋めるかが検討課題となる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インドでのサンプル調査の重要性が増してきたという現状を鑑み,次年度以降の研究費は,インド訪問の旅費,研究協力機関TERIへの謝金,データ入力,プログラム作成に対する謝金に費やすことを予定している。繰越金は旅費および研究協力機関への謝金の一部として有効に使用する。
|