2013 Fiscal Year Research-status Report
インドにおける経済格差分析のための農村都市連結産業連関表の推計
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24530265
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
新保 一成 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (80226349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
疋田 浩一 神戸夙川学院大学, 観光学部, 准教授 (00454786)
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Keywords | 産業連関分析 / インド / 地域産業連関表 |
Research Abstract |
2013年9月にインドの研究協力者であるエネルギー資源研究所(TERI)において協議した結果,現在のインドが抱える最大の問題の一つが水問題であり,水資源の供給と各部門の水需要の状態を農村都市連結産業連関表で表象することが可能なように産業連関表の推計をしてほしいという要請を受けた。水の投入産出を表象するためには農村都市という経済的な地域分割では不十分であり,水系による地理的な地域分割が必要である。一方で経済統計は行政的な地域単位が基本であるから,それを水系別に再構成することは極めて困難である。よってインド35州・連邦直轄領の産業連関表を推計し,そこに水資源の供給と部門別の水需要を付帯することになった。 製造業部門についてはAnnual Survey of Industryの事業所別生産額および雇用者数を産業別州別に集計して,州別の特化係数を計算し,最もシンプルなLocation Quotientsに基づくノンサーベイ法によって州別の投入係数を推計した。農業については国民経済計算において州別に詳細な農産物の産出内訳が計上されているので,それによって州別特化係数を計算し,製造業同様にLocation Quotients法によって投入係数を確定した。一方サービス業に関しては,地域別の情報が乏しいので,全ての州で同じ投入構造を持つことを仮定した。最終需要部門のうち家計についてはNSSOによる家計調査の個票を再集計することによって推計した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2013年9月のインド訪問によって,水路,空路による地域間物流データが国際貿易データと共に推計されていることが判明し,それに基づいて地域間交易係数の推計を開始することができた。この資料には,インドの主たる輸送手段である道路と鉄道による物流が欠如していることが大きな問題ではあるが,昨年までの地域間物流情報が皆無であった状況と比較すれば大きな進展を遂げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
依然として州別の地域間交易係数の推計が最大の課題として残っている。「現在までの達成度」で述べたように地域間交易係数を推計するための統計資料において,インドの主たる輸送手段である道路と鉄道による物流情報が欠如している。これを補うためにAnuual Survey of Industryの事業所別投入産出情報と事業所の地理的情報(GIS情報)をリンクして空間統計学的手法を用いて地域間交易の構造の推定を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
インドにおける研究協力機関であるThe Energy and Resources Institute(TERI)の研究者への謝金の支払いを毎年計上していたが,最終年に一括して支払うことになったため。 また購入予定であったインド標本調査機関(National Sample Survey Organization(NSSO)のデータの入手が遅延しているため。 次年度使用額のうち600,000円をTERIの研究者3名に対する3年間の協力謝金として支出する。 残額をNSSOによる家計調査の購入に支出する。
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