2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530298
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
劉 徳強 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (10240417)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岑 智偉 京都産業大学, 経済学部, 教授 (30340433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 総要素生産性 / 労働分配率 / 環境パフォーマンス / 外資企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトでは、中国の成長方式の転換に対して外資企業がどのような役割を果たせるかについて、以下の3つの点を中心に研究を行った。①外資企業が中国の産業技術水準の向上に寄与したかどうか。②外資企業の進出が中国国内の労働分配率の向上につながったかどうか。③外資企業は中国における省エネ・汚染削減に貢献したのかどうか。 ①については、中国企業別と産業別データを利用し、外資企業と中国の国有企業や非国有企業の総要素生産性の違いについて調べた。それによると、1990年代の末頃には、外資企業は中国の国有企業や非国有企業のより高い生産性を示しているが、2007年以降、国有企業との差は縮小し、非国有企業との差はなくなった。②については、企業レベルのデータに基づいて外資企業の労働分配率が国内企業との違いを分析した。それによると、外資企業の労働分配率は国有企業より低いものの、非国有企業より高いことを明らかにした。③については、製紙業を事例に、外資企業が中国国内企業より環境パフォーマンスが高いかどうかについて、企業レベルのデータを用いて分析した。それによると、企業の経営状況をコントロールした上で、外資企業は中国国内企業より顕著に高い環境パフォーマンスを有することが分かった。 以上の分析結果から、外資企業は生産性の面において優位性が失われたものの、労働への分配や環境への配慮といった企業のコンプライアンスと関連する問題において優位性を持っており、中国における成長方式の転換にポジティブな影響を与えうると言えよう。
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