2014 Fiscal Year Research-status Report
文化・価値観と経済発展との相互依存に関する政治経済学理論分析
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24530304
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀 宣昭 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (50304720)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 政治経済学 / メディア / 認知的不協和 / 天然資源の罠 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が指導する大学院生Luo Xiaoyi氏と次のような共同研究を行った。 (1)Beliefs, Reputation, and Media Capture: 有権者が政策決定にあたりメディアの報告を参考にするが、特定の利害グループが、贈賄によりメディアの報告を歪める可能性があるモデルを開発し、「メディアが容易に買収され、それを見越した有権者のメディアへの信頼が低い社会」と、その逆の「メディアの独立性やメディアへの信頼性が高い社会」とが、複数均衡として同時に存在しうることを示した。 (2)Cognitive Dissonance and Media Independence:有権者行動に社会心理学的要素を取り込んだ政治的エージェンシー・モデルを考案し、メディアの独立性の影響を分析した。自分を「有能」であると信じたい動機が有権者に存在し、特定の状態変数に対する事前の期待を事後的に歪めることで、有権者の認知的不協和が処理される場合、メディアの独立性の強化は、政治家の「迎合」行動を助長し、かえって政策の効率性を損なうことを示した。 上記の研究は、Luo Xiaoyi氏の博士学位論文として公表された。 また、平成25年度の研究成果、「Institution, Foreign Investment and Resource Curse」について、査読ジャーナルへの公表が決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大学院生との共同研究が進展し、一部は公表が確定している。政治的エージェンシー・モデルについてのサーベイの出版も決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、これまでの大学院生との共同研究の他、残されたテーマについての分析も急ぎ、公表を目指す。最終年度は、発展経済での政治過程の問題について特に焦点を当てる予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度は大きく研究が進展したが、平成25年度の次年度使用額が大きかったため、引き続き次年度使用額が大きくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は、研究成果の公表に向けて、英文校正や投稿料、研究報告旅費に支出する予定である。
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