2012 Fiscal Year Research-status Report
政府は何を買うべきか?産業連関を含む空間計量経済モデルによる財政支出乗数の推定
Project/Area Number |
24530329
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
打田 委千弘 愛知大学, 経済学部, 教授 (50305554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 陽介 上智大学, 経済学部, 教授 (20266068)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 財政支出乗数 / 特化の経済性 / 空間VAR |
Research Abstract |
本研究の目的は二つある.第一は,オバマ政権下の財政政策の是非を巡る研究の蓄積しつつある米国を例にとりながら,多部門から構成される動学的一般均衡モデルの含意に基づき産業間の相互連関を考慮し,空間計量経済モデルにより財政支出乗数を推定することである.第二は,産業間の相互連関に関する仮説の一つである,市場への企業の新規参入が生産性を高める「特化の経済性」について,入手可能な日本の事業所レベルのミクロ・データを用いて実証分析することである. 平成24年度においては,第一の目的である多部門からなる動学的一般均衡モデルについて,Devereux, Head and Lapham(1996)のモデルをベースとしながらJones(2011a,2011b)におけるInput-Output構造を組み合わせたモデルの構築を進めた.現在,モデルの基本的なセッティングを行い,シミュレーションを実行することで基本的性質の理解を進めている.また,Chen and Conley(2001)における産業間の相互連関を仮定した空間VARモデルの推定についても,ベースライン推計がほぼ終了している. 第二の目的である,市場への企業の新規参入が生産性を高める「特化の経済性」の計測については,Takeda and Uchida(2009)において,日本の自動車部品産業の産業集積効果を計測するために用いた技術協力団体に関するデータベースの構築がほぼ終了している.また,『企業活動基本調査』や『工業統計調査』を利用して,所有権アプローチを用いた自動車部品産業に関する企業間関係の特殊性について計量分析を行った(Takeda and Uchida(2013)).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の目的である多部門からなる動学的一般均衡モデルについては,Devereux, Head and Lapham(1996)のモデルをベースとしながらJones(2011a,2011b)におけるInput-Output構造を組み合わせたモデルの構築に関して,ほぼ順調に進んでいる.また,Chen and Conley(2001)における産業間の相互連関を仮定した空間VARモデルの推定についても,ベースライン推計がほぼ終了しているため,今後の2年間で更なる蓄積が期待できる. 第二の目的である,市場への企業の新規参入が生産性を高める「特化の経済性」の計測については,『企業活動基本調査』や『工業統計調査』を用いる環境が整備された(独立行政法人経済産業研究所の新規プロジェクトに関して参加が認められた)のと同時に,関連するデータベースの構築も進んでおり順調である.
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Strategy for Future Research Activity |
第一の目的である多部門からなる動学的一般均衡モデルについては,現在構築しているモデルの基本的な性質について理解を進めながら,シミュレーションを用いて分析を進めて行きたいと考えている.また,Chen and Conley(2001)における産業間の相互連関を仮定した空間VARモデルの推定については,財政支出乗数の推計に関して様々なケースを想定しながら更なる推定を行うことを予定している. 第二の目的である,市場への企業の新規参入が生産性を高める「特化の経済性」の計測については,『企業活動基本調査』や『工業統計調査』についてのデータベース構築を進めたいと考えている.また,「特化の経済性」に関する実証命題の構築についても進めて行きたいと考えている.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究費については,打田,竹田両名の研究打ち合わせに対する国内旅費,論文報告に関する海外旅費,データベース構築に関するアルバイト費,利用している統計関連ソフトの更新費用などが主体となる予定である.
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Research Products
(3 results)