2013 Fiscal Year Research-status Report
政府は何を買うべきか?産業連関を含む空間計量経済モデルによる財政支出乗数の推定
Project/Area Number |
24530329
|
Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
打田 委千弘 愛知大学, 経済学部, 教授 (50305554)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 陽介 上智大学, 経済学部, 教授 (20266068)
|
Keywords | 財政支出乗数 / 特化の経済性 / 空間VAR |
Research Abstract |
本研究の目的は二つある.第一は,オバマ政権下の財政政策の是非を巡る研究の蓄積しつつある米国を例にとりながら,多部門から構成される動学的一般均衡モデルの含意に基づき産業間の相互連関を考慮し,財政支出乗数を推定することである.具体的には,生産量の一変数に関する産業別のデータを用いたChen and Conley(2001)の空間VARモデルを生産量と財政支出の二変数に拡張しながら,産業間の相互連関を表わす二種類の産業間の距離指標を明示的に扱い,財政支出の産業別の乗数を推定した上で,各産業における財政支出ショックがマクロの生産量に与える集計的乗数効果を計測することである. 平成25年度においては,前年度に考慮したDevereux, Head and Lapham(1996)をベースとした多部門動学モデルに関して,実証分析のモデルとの対応関係を重視した動学モデルであるFoerster, Sarte and Watson(2011)などを参考に動学的特性について,かなりの程度理解が進んでおり,理論モデルの方向性が明確になってきている. 第二の目的である,「特化の経済性」について日本のミクロ・データを用いた実証分析への対応であるが,Takeda and Uchida(2013)において,「工業統計調査」,「企業活動基本調査」,「日本の自動車部品産業」等のミクロ・データを用いて,自動車部品企業における企業間関係と所有権構造について実証分析を行っている.また,愛知県における製造業の生産性(TFP)と金融機関の店舗配置に関して「工業統計メッシュデータ」を用いて実証分析することで,産業集積(地域における特化の経済性)と金融機関の情報生産機能の関係について実証分析を進めている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一の目的である多部門からなる動学的一般均衡モデルの実証分析への対応に関しては,動学的モデルの特性を含めて相当程度理解が進んでおり,理論モデルとしては成果があがりつつある.財政支出乗数の推定についてもデータベース作成等,一定程度進捗している. 第二の目的である「特化の経済性」に関する日本のミクロ・データを用いた対応であるが,「企業活動基本調査」や各種データベースの作成が順調に進んでおり,愛知県の生産性(TFP)等の推定はプロトタイプとして成果をあげている.
|
Strategy for Future Research Activity |
第一の目的である多部門からなる動学的一般均衡モデルに関する対応は,動学的特性の理解に関して,早急に進めたいと考えている.また,同時並行で財政支出乗数の推定についても成果を早めに提出したいと考えている. 第二の目的である「特化の経済性」に関するミクロ・データを用いた対応であるが,現在,RIETI(独立行政法人経済産業研究所)の東アジア産業生産性プロジェクトにおいて,生産性をベースに「企業活動基本調査」,「海外事業活動基本調査」等を用いて分析を進めているところである.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
推定作業に利用している統計ソフト(STATA Ver.13)に関して,現在使用中のPCのスペックに合わせたものにした場合,想定以上の高額になったため,平成26年度の予算に繰り越しを行っている. 平成25年度の利用統計ソフトの当初予算額(STATA Ver.13)に関して,平成26年度に繰り越しすることで,これまで通りの研究計画を遂行できる.
|
Research Products
(2 results)