2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530336
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Research Institution | Kyushu International University |
Principal Investigator |
緒方 隆 九州国際大学, 経済学部, 教授 (50150389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友田 康信 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30437280)
松尾 美紀 九州国際大学, 経済学部, 准教授 (50437282)
齋藤 隆志 明治学院大学, 経済学部, 准教授 (60437283)
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Keywords | 人的資本 / 所得格差 / 教育格差 |
Research Abstract |
本研究は,人的資本クズネッツカーブに対する包括的な理論・実証研究を行うことを目的としている.理論面においては,既存研究と異なり,教育支出が奢侈品となる選好を仮定し,人的資本クズネッツカーブを導く新しい理論的枠組みを構築する.さらに,わが国の都道府県データを用いて,人的資本クズネッツカーブの実証研究を行う. 本研究では,non-homotheticな効用関数を仮定し,教育支出が奢侈品であることを考慮したうえで,収穫逓減の人的資本形成関数のもとで人的資本クズネッツカーブを理論的導出を試みた.その結果,前述したような強い仮定を設けなくても,教育支出が奢侈品であることをモデルに組み込むことにより,人的資本クズネッツカーブを理論的に導くことができ,所得格差の動学的推移を示した点は大きな貢献といえる.この成果は,Economics Lettersに投稿し,掲載された. また,2012年2012年8月31日から9月2日に,「先端経済分析研究会」を下関市内で開催した.本研究プロジェクトに関連する多様な研究分野からの意見交換を目的とするもので,6名の研究者に来ていただき,主に教育とマクロ経済に関する理論分析や,消費者行動に関するミクロ計量経済学を用いた実証分析の研究等を発表してもらい,参加者一同(17名)で活発な議論を行った.コンファレンスを通じ,本プロジェクト計画における理論・実証分析の妥当性について,示唆を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論研究においては、我々の研究プロジェクトは一定の成果を上げることができているが,実証研究においては,やや遅れている.わが国の個票データを用いて都道府県データを構築し,人的資本クズネッツカーブが存在しているかについて,実証分析を行う予定であった.しかし,本プロジェクトの実証研究担当の研究分担者の所属大学の変更が決定したこともあり,データセットの作成が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
実証パートでは,理論研究における仮定の妥当性を示すために,教育支出が奢侈品であるかどうかの実証分析を行う.実証分析に備えてデータの収集にとりかかる.データ収集のために,調査会社を利用し,インターネットを利用したアンケート調査を予定している.また,得られたデータに統計的な偏りが無いかをチェックし,データを補完するため,『全国消費調査』等にて都道府県ごとの家計の教育支出をデータベース化する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実証研究において,担当者間における打ち合わせは済んでいるが,2013年度中にアンケートを調査会社に委託できなかったことがあげられる. 今年度は,必要なデータを収集するために,アンケート調査を行う予定である.
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