2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24530342
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
吉田 雅敏 龍谷大学, 経済学部, 教授 (00201012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃田 朗 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (30309512)
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Keywords | ユーザー・チャージ / 世代間格差 / 準公共財 / 家計生産 / 時間配分 |
Research Abstract |
平成25年度は、交付申請書の「実施計画」に従い、政府が排除可能な公共財を供給する動学的な一般均衡世代交代モデルを構築し、賃金・資本課税により歪められた経済において、公共財への最適な世代間ユーザー・チャージの特徴を研究した。本年度の研究を進めるに当たり、以下のような既存文献の研究を行った。 (1)消費に時間投入が必要な世代交代モデルの中で貯蓄行動と課税の帰着を分析したタンジー&ジーの論文(1993年、J.Pub.E.)を検討した。 (2)同質な個人が青年期のみならず老年期でも働く世代交代モデルの中で、線形の消費税と資本課税を利用できる政府が賃金税率を老若世代の間でいいかに差別化すべきかという問題を研究したマッカフェルテイの論文(1994年、Public Finance)を検討した。 これらの既存研究の検討を基に、論文“Intergenerational Discrimination of User Charges on Excludable Public Goods”を完成した。要旨は以下の通りである。「私的財の消費と排除可能な準公共財の利用に“時間”の投入が必要な世代交代モデルの中で、公共財へのユーザー・チャージの“世代間差別”問題を検討する。対数効用のケースで、消費が時間の投入を要しなければ、公的資金の限界費用は1になるので、この世代には労働所得税に比例してチャージを課すべきであるが、老年世代からは資本所得税とチャージを徴収すべきでない。さもなければ、労働所得への課税下で公的資金の限界費用は1より小さくなるので、青年世代と老年世代へのチャージはそれぞれ労働所得税と資本所得補助に比例した水準を超えないように設定されなければならない。」 なお、本論文は日本財政学会71回大会(2014年10月25~26日、中京大学)で報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
既存文献の研究を基礎に、ユーザー・チャージの世代間格差を適切に分析するための動学的な世代交代モデルを構築し、賃金・資本課税により歪められた経済において公共財への最適な世代間ユーザー・チャージの具体的な特徴を明らかにしたことは一定の評価に値しよう。また、論文が完成し、日本財政学会で発表が予定されていることも本研究プロジェクトが当初の計画以上に順調に進展していることを示している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の動学的世代交代モデルは、青年世代の時間制約は有効だが、老年世代のそれは無効であるというタンジー&ジーの論文(1993年、J.Pub.E.)の基本的仮定を基礎に構築された。このモデルを老年世代の時間制約も有効な場合に拡張し、結果を比較検討することが今後の研究の重要な推進方策である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度の1~3月に研究報告のため、数回国内出張が予定されていたが、父親が緊急入院したため取りやめとしたたため。 中止した国内出張費は次年度に使用する予定である。
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