2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24530342
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
吉田 雅敏 龍谷大学, 経済学部, 教授 (00201012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桃田 朗 筑波大学, システム情報工学研究科(系), 准教授 (30309512)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ユーザー・チャージ / 世代間差別 / 公共財 / 公的資金の限界費用 / ラムゼー・ルール |
Outline of Annual Research Achievements |
少子高齢化が進む日本の財政運営は厳しい状況にある。税と国債による財源調達の圧力を緩和するため、公的に供給される財やサービスへのユーザー・チャージによる追加財源の確保が急務である。しかし、現状ではこれらは高齢者に無料あるいは低料金で供給されている。本研究の目的はこのような高齢者に有利なチャージの差別政策が社会的に望ましいかを検討することである。この目的のため、家計生産理論、最適課税論、およびチャージの基礎理論の検討が行われた。また、標準的な2世代重複モデルを(1)時間配分制約は青年世代では有効だが老年世代では無効、(2)私的財消費に時間の投入が必要、(3)公共財利用に時間と私的財の投入が必要、というように拡張した。 拡張した世代交代モデルにおいて、代表的世代の一般的な効用を最大化するための労働・資本所得税、老若世代へのユーザー・チャージ、および国債の次善最適条件を明らかにし、資本蓄積の黄金律と税・チャージの修正されたラムゼー・ルールを導出した。次に、修正ラムゼー・ルールから具体的な税・チャージの特徴を示すために対数効用を仮定し、公的資金の限界費用(MCPF)という新しい概念を用いて、以下の結果を得た。 (1)私的財消費が時間の投入を必要としないならば、MCPFは1となるので、政府は公共支出を資金調達するために青年世代には労働所得税と公共財利用のチャージを課すべきだが、老年世代にはチャージと資本所得税を課すべきではない。 (2)さもなければ、青年世代の労働所得は課税されるべきだが、老年世代の資本所得は補助されるべきであり、また資本所得補助と労働所得税に比例した水準以下のチャージが老若世代に課されるべきである。 上記の研究成果は、日本財政学会と、九州産業・福岡工業・龍谷・早稲田・明治学院・筑波の各大学で報告されたのちに、国際雑誌であるJapanese Economic Reviewに投稿された。
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Research Products
(3 results)